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古河電工、次世代マルチコアホーリーファイバで伝送容量100倍

July 31, 2009, 東京--古河電工は、将来に向けて増大を続ける情報通信量に対応する新世代伝送用光ファイバとして、「空孔構造ファイバ」の研究開発に取り組んでいる。
同社は、2007年より本格的な研究開発を開始し、2009年3月に空孔構造ファイバの一種で、「従来ファイバ」の100倍近い伝送容量を実現できる「マルチコアホーリーファイバ」(MC-HFs)を世界で初めて開発し、OFC/NFOEC2009で発表した(1)。続いて今月香港で開催された学会OECCで、品質向上に向けた製造技術「粘度調整による低損失化技術」を発表した。
 同社では、「今後は、長距離での実証試験等を重ねるとともに、さらなる低損失化など引き続き品質の向上を図り、10年後の実用化を目指す」としている。
古河電工が開発した「空孔構造ファイバ」は、クラッドに「空孔(Hole)」を持つ。空孔構造ファイバの一つである「ホーリーファイバ(Holy Fiber)」は、従来のコア-クラッド構造ファイバでは実現不可能であった「Endlessly Single Mode(ESM)」と言う特殊な特性を持つ。このESM特性により、従来1300〜1600nmに限られていた長距離光通信の波長が、より短波長(例えば1μm帯)でも利用できることとなるため、波長多重による伝送容量の拡大が可能となる。
さらに古河電工では、このホーリーファイバ技術を元に、一本の光ファイバの中に7本のコアを有する「マルチコアホーリーファイバ」を世界で初めて実現した。
通常、一本のファイバ中に複数のコアを設けると、コアの間で光信号が干渉し、長距離を伝送する間に信号が劣化する。古河では、ホーリーファイバ構造を最適に設計することにより、従来ファイバとほぼ同等の直径180μmの中で、それぞれのコアが超広帯域の光信号を理論上100km以上の長距離に渡って伝送可能とした。今後実用化に向けて、長距離伝送の実証試験を予定している。
このファイバ一本で従来ファイバの100倍近い、超大容量の伝送を実現でき、将来の情報通信量の増大に対応できる能力を持つ。加えて、大容量伝送を少ないファイバ数で実現することにより、ファイバやケーブルを構成する材料を削減し、省資源化にも貢献する。
ホーリーファイバの実用化においては、新たな特性を実現する構造の設計だけでなく、製造技術もキーとなる。古河電工では、米国子会社OFSの持つ製造プロセス技術も活かして共同で製造技術の開発を行っている。その成果として、粘度調整による低損失化技術を開発した。

参考文献
(1) Katsunori Imamura et al., OTuC3 OFC/NFOEC2009

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