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アリゾナ州立大学、ナノスケールレーザを開発

July 31, 2009, アリゾナ--アリゾナ州立大学(ASU)とオランダのアイントホーベン工科大学(Technical University of Eindhoven)の研究者たちの協働研究によりレーザを小さくする方法が発見された。この成果は、ナノスケールレーザの可能性に道を拓くものであり、実現すればコンピュータ性能やインターネットスピードの大幅向上につながる。
 現在、小さなレーザが大陸間の通信に使用されているが、将来的にはナノスケールレーザがコンピュータ内のパーツ間通信に使われることになる。エンジニアは、小さなエレクトロニクスコンポーネントとの集積効果向上のためにレーザを小さくすることに取り組んできた。これらのコンポーネントで使われるレーザが増えれば増えるほど、エレクトロニクスのパフォーマンスは高速化する。これは、コンピュータやインターネットの速度向上につながる。
 レーザのサイズは、どの方向でも、波長の1/2に限定されると考えられていた。例えば光通信に用いられる波長は約1500nmであるが、すると光通信では750nmのレーザが造れる最小のレーザと考えられていた。半導体ではこの限界は半導体の屈折率(数学的には~3.0)によって下げられ、この場合は約250nmとなる。つまり回折限界だ。現在の理論では、この回折限界、つまり通信用途の半導体レーザで250nm以下のレーザは造れないことになっている。
 ASUとEindhovenの研究チームは、この限界を回避する方法があることを示した。1つは、半導体と、金や銀などの金属を組み合わせて使用することだ。
 ASUのEra A.Fulton工学部電気コンピュータ・エネルギー工学部、Cun-Zheng Ning教授は、「金属で励起される電子が回折限界以下のサイズにレーザの光を閉じ込める働きをすることが分かった」と説明している。「結果的に、波長の約1/4程度に薄いレーザを作ることができた。」
 Ning教授とEindhovenのMartin Hill教授は「金属-半導体-金属のサンドイッチ構造」を用いることで、今回の成果を達成した。このサンドイッチ構造では、半導体は80nm程度の薄さであり、20nmの誘電体層に挟まれ、さらに金属にサンドイッチされている。
 両氏は、これまでに実現された中で最も薄い、このような構造のレーザが実際に発光することを実証した。しかし、この構造は低い動作温度でしか動作していない。次のステップは、室温動作達成だ。
 このようなナノレーザの用途は多いが、最も注目されているのはコンピュータチップのCPU上の通信だ。コンピュータが高速化するにつれて、コンピュータ内の異なるパーツ間の通信が処理のボトルネックになる。「光通信は半導体チップ通信改善で究極のソリューションとなる」とNing氏は見ている。
 「しかし、これが実現するには、レーザが小さなエレクトロニクスコンポーネントに集積できるほどに小さくできなければならない。DODやインテルなどのチップメーカーがチップ上の通信に向けた光ソリューションに取り組んでいる理由がここにある」。
(詳細は、http://www.asu.edu/)

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