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住友電工、世界初の純緑色半導体レーザの発振に成功

July 17, 2009, 東京--住友電気工業株式会社(住友電工)は、半導体から直接発振できる発振波長531nmの純緑色半導体レーザの開発に成功した。
 レーザ光源を用いたレーザTVや携帯型レーザプロジェクタなどのレーザディスプレイは、高輝度・高精細に加え、従来にない小型・軽量・低消費電力といった特長があり、製品化を目指した開発が活発化している。現在、光の三原色(赤・緑・青)光源としては、赤と青は半導体レーザで実現されているが、緑は赤外レーザ光を特殊な光学結晶で波長を変換することで得られており、緑色光を直接発振させる半導体レーザは実現できていなかった。 緑色領域では青色発光ダイオード(LED)に使用されている窒化ガリウム(GaN)系半導体が検討されているが、青色から緑色へ波長を長くすることで発光効率が大きく低下するという問題があった。
 住友電工は、この問題を克服できる窒化ガリウム結晶を新たに開発し、これを用いて半導体レーザでは純緑色領域で世界初となる波長531nmでのレーザ発振(室温、パルス)に成功した。
開発成果
緑色領域で高品質な結晶: 青色から緑色へ長波長化すると、発光層となる結晶に大きな内部電界が発生するとともに結晶品質が低下することで、発光効率が低下するという本質的な問題があり、各機関により、レーザを作製するための結晶面方位を変え、発光層に発生する内部電界の影響を弱めることで、発光効率向上を目指した開発が進めてられている。これに対して住友電工では、内部電界を弱めるだけではなく、発光層品質を大きく向上できる結晶を開発し、緑色領域でも高効率で発光できる半導体レーザの開発に成功した。
緑色領域で任意波長の選択が可能: 従来の波長変換型レーザでは発振可能な波長が固定される。これに対して、住友電工は発光層を制御することで緑色全波長領域をほぼカバーできる開発に成功した。これにより、緑色半導体レーザでは最適の波長を選択することができる。また電流を増加させても発振波長の変化はほとんど無いため、「高電流下で高出力を狙う用途に有効な技術」と同社は説明している。さらに、特長として、「波長は環境温度による変動が少ない」点を挙げている。
ただし、具体的な数値については示されていない。また、出力についても発表されていない。
(詳細は、2009年7月17日発行のApplied Physics Express誌に掲載予定)

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