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住友電工、近赤外光による組成イメージングシステムを開発
June 11, 2009, 東京--住友電気工業株式会社(住友電工)は、近赤外光(NIR)を用いて、生体や食品材料などの組成の違いや組成の濃度分布を、非接触・非破壊でリアルタイムに2次元画像化する組成イメージングシステムを開発した。
現在、医療や食品などの分野において、非破壊で生体や食品材料などの組成分布をリアルタイムに計測可能な検査システムへのニーズが高まっている。
組成分析手法としては、赤外分光法(FT-IR)など赤外光(IR)によるスペクトル分析が一般的だが、非破壊での測定が難しいという課題があり、NIRによる組成分析が注目されている。NIR帯域には、水、脂質、タンパク質などの有機物の吸光スペクトルがあるため、生体や食品の組成分析が可能。更に、NIRは生体や有機物を透過しやすいため、非破壊で組成検査することが可能となる。
住友電工は、これまで光通信事業において培ってきた高度な光関連技術(材料、デバイス)を応用し、光通信と同じ波長帯域であるNIRを用いて組成分布をリアルタイムに2次元画像化する組成イメージングシステムの開発に成功した。
今回、当社が開発した組成イメージングシステムの特徴は以下の通り。
組成分布を高感度に2次元画像化
住友電工は、WDM通信デバイス用材料技術を応用し、広帯域・高感度のNIRカメラ用センサを開発。これにより、組成分布を高感度に2次元画像化することが可能となった。
従来のNIRカメラ用センサ材料としてはInGaAs、HgCdTeなどがあるが、感度を持つ波長帯域が狭いことや超低温動作が必要などの問題があった。住友は量子井戸構造から成る材料を新たに開発し、1〜2.5μmの幅広い波長領域で高感度の測定を可能とした。
熱影響が無い測定を実現
組成イメージングに必要な、広帯域・高強度かつ測定物に熱影響を与えない光源を実現するため、独自のSC光源を開発。SC光源は、フェムト秒パルス発振のため、ハロゲンランプなどの既存光源で問題となる測定対象物への熱影響を解決すると同時に、十分な光強度と広帯域特性を有する光源。
リアルタイム画像化が可能
大学などと共同で高速スペクトル解析アルゴリズムを開発。これによりNIRカメラで収集したすべての画素のデータにおいて、リアルタイムでNIRスペクトル解析による組成判定を行い、組成分布を画像化することが可能になった。