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NEC液晶、白色LEDバックライト技術を開発
June 5, 2009, 東京--NEC液晶テクノロジー(NEC LCD Technologies)は、バックライトの光源に新開発の白色LEDを採用することによって、AdobeRGBの広い色再現領域をカバーする、アモルファスシリコンTFTカラー液晶ディスプレイモジュールを開発した。
バックライト光源に採用されている白色LEDは、近紫外線LEDチップの光を、R,G,B三原色の蛍光体に照射して発光させ(励起)、それらの光を混ぜることで白色光を実現するもので、従来の白色LEDに比べて演色性に優れている。また、新開発の白色LED と、これに合わせて最適化された新開発のカラーフィルタを組み合わせることによって、従来の白色LEDでは実現できなかったAdobeRGBをカバーする広い色再現領域を可能にしている。
近年、白色LEDをバックライトの光源に用いた液晶ディスプレイへのニーズが高まっている。白色LEDは、現在バックライト光源の主流であるCCFL(冷陰極管)に比べて、小型化・軽量化・省電力化設計の点で有利であること、水銀を含まないこと、高圧回路が不要であるため安全設計の負荷や高調波電流・高周波ノイズ発生の懸念が軽減されること、振動や衝撃に対する耐性に優れていること、低温起動性や調光範囲の広さの点で優れていることなど、さまざまなメリットを有することで採用が進んでいる。
しかし、色再現性においては、現在バックライト光源として用いられている白色LEDの多くは、CCFLと比べて十分ではない。これは、現在主流となっている白色LEDが、青色LEDチップによって、その補色にあたる黄色の蛍光体を励起することで白色光を実現しているため、CCFLに比べて赤や緑の波長成分が乏しいことに起因する。このため、従来の白色LEDをバックライトの光源に採用した場合、広色度域タイプのカラーフィルタと組み合わせても、赤や緑の再現範囲を拡大するのに限界があり、AdobeRGBの色再現領域までカバーすることは困難だった。
今回発表の開発品は、これらの課題を解決し、従来の白色LEDでは困難だった超広色度域対応を実現している。
LEDをバックライト光源に用いてAdobeRGBの色再現領域を確保する方法としては、白色LEDの代わりにR,G,B三原色のLEDを組み合わせる方法もあり、NEC液晶が2005年3月に製品化した21.3型TFTカラー液晶ディスプレイモジュール「NL160120BC27-10」で実用化されている。
NEC液晶は、「本開発品で採用した技術を、超広色度域の実現方法の一つとして、今後も研究・開発を重ねていく」としている。