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太陽光発電業界に迫られる新たな戦略
May 26, 2009, スコッツデール--First Solarが生産しているCdTeパネルを代表とする薄膜(TF)ソーラパネルのワット単価は、シリコンウエハを使用した従来のソーラパネルに比べて確実に下がっている。
ICインサイツ(IC Insights)の調査「太陽エネルギー:半導体産業の成長機会」によると、2008年に販売されたTFモジュールは876MWだったが、今後、年平均43%で成長して2013年には5.2GWに達すると予測されている。
この成長にともない、販売される全太陽光発電デバイスに占めるTFのシェアは2008年の14%から、2013年には27%に拡大する。
TFは継続してシェアを拡大すると見られているが、予想成長率は最近の多くのソーラ業界予測に比べると大幅に低い。この予測の背景についてICインサイツは次のように分析している。
TFパネルメーカーは、研究フェーズでは16〜20%に達しているパネルの効率を、11%を超えるレベルに上げようとしてきた。この高い効率は量産段階では難しく、これまでのところブレイクスルーは見あたらない。
このため、ワット単価は低いが、TFパネルは主に大規模公共設備に導入されてきた。ほとんどの屋根上“rooftop”用途では、限られた屋根の面積でより多くのパワーが引き出せる、効率14〜21%のシリコンウエハベースの太陽電池パネルに高い関心が集まっている。
電力設備に対する政治的な影響力によって政府の資金が大規模太陽光発電設備に引きつけられていることは明らかであるが、今回の調査レポートではこれに疑問を投げかけている。同調査は、ソーラ技術の最も有効な利用形態を消費ポイントに近いルーフトップの小型アレイであると指摘し、その理由として、送電線でのパワーロスやコストが削減できることを挙げている。政府の政策者がこのことを理解すれば、刺激策は最良のルーフトップ製品のサプライヤーに向けられるべきである、と同レポートは指摘している。
ICインサイツによると、ソーラ業界は2008年の成長率99%を最高に、その後は、現在の経済減速の打撃を受けている。2009年に導入されるソーラPV容量は22%減となるが、米国、アジア、ヨーロッパの政府の刺激策により、2010年には力強い成長がもどってくると予測。しかし、2009年中に政府支援が弱まることから、極めて深刻な状況に陥っているソーラデバイスメーカーは増産戦略の見直しを迫られている。
ウエハベース太陽電池メーカーに対する支援により2008年、2009年、2010年のポリシリコン供給は大きく拡大する。ウエハ供給に逼迫感がなくなり、シリコンコストも下がれば、ウエハベース太陽電池メーカーは、効率を高め、ワット単価を下げるデバイスの設計、製造技術に集中できる。供給メーカーの中には、新しいバックコンタクトデザインを含めて、効率を高めた太陽電池を市場投入すると表明しているところもある。
調査の要点
・2009年はソーラパネルの価格が一段と下がる。その後、2009-2013年の予測期間を通じて価格は緩やかに下降する。
・ソーラPVサプライヤー間の競争が激化する。2008年では、トップサプライヤーが市場シェア9%、他の13社が4%程度のシェアだった。ICインサイツは、サプライヤーのランキングは入れ替わると見ている。
・予測期間を通じてソーラグレードポリシリコンは過剰供給で推移する。UMG(upgraded metallurgical grade)シリコンのような、新しいローコスト製品によってウエハコストは下がる。
・新しいソーラデバイス業界向けの装置メーカーは、デバイスメーカーが在庫の膨張、稼働率の低下で苦しんでいるので、ビジネス戦略の見直しを迫られている。