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近接場光アシストの新しいスパッタリング技術を開発

April 24, 2009, 東京--東京大学とコバレントマテリアル(株)は、近接場光を用いて、透明セラミックス表面の研磨傷を選択的に解消しながら薄膜をスパッタリングする技術の開発に成功した。
コバレントマテリアルは、内部散乱を単結晶並に低減した酸化物透明セラミックスを開発し、その光学材料への展開を図っているが、表面粗さに起因する散乱損失の低減を必要としていた。一方、東大は近接場光の発生する領域で選択的に進行する近接場光脱離効果を見出してきた。今回、東大とコバレントマテリアルは、近接場光脱離効果をセラミックス基板へのスパッタリングプロセスに適用し、表面の研磨傷の修復されたセラミックス基板を実現した。
研磨傷などの凹凸を有する基板に対して通常のスパッタリングにより薄膜を堆積すると、表面エネルギーの低い研磨傷のエッジ部分に堆積が集中してしまい、平滑な表面が得られない。一方、凹凸を有する基板に対して光を照射すると、凹凸部において選択的に近接場光が発生する。近接場光脱離効果とは、近接場光の存在領域において選択的に堆積物の脱離が誘起される現象である。したがって、スパッタリングと同時に基板表面に光を照射すれば、研磨傷のエッジに近接場光が発生し、エッジ部での堆積を抑制する光脱離が誘起される。そのため研磨傷のエッジ部への堆積の集中が回避され、結果として、表面が平滑な薄膜が実現する。実験では、透光性アルミナに対して光を照射しながら、同じアルミナ材質のターゲットをスパッタリングし、堆積前の研磨傷が選択的に修復されることが確認された。
東大とコバレントマテリアルは、近接場光を用いたスパッタリング技術の完成度をさらに高めるとともに、他の材料への適用を目指すとしている。
この成果は、2009年3月の応用物理学関係連合講演会で発表された。

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