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建材一体型PV市場、堅調成長であるが限界もある
April 14, 2009, ボストン--補助金と美観が建材一体型PV(BIPV)市場の基盤構築に貢献し、今後、穏やかで堅調な成長が、新しい業界横断サービスや製品の改善に寄与すると見られている。しかし、現在17億ドルのBIPV市場は標準化がされておらず、生産規模が小さく、建物にとりつけるタイプの太陽電池が圧倒的な競争力(BAPV)をもっていることなどで、2013年までのBIPV普及には限界があるとラクスリサーチ(LuxResearch)は、見ている。
BIPVは、PVのコンポーネントで、一次的な建材の外観や機能を置き換えていくものであり、単一のユニットとして販売される。BIPVと比べると、BAPVには建物搭載の太陽電池が広範に含まれ、屋根にマウントする従来のPVシステムも含まれている。ラクスリサーチの調査レポート「BIPVの基盤構築」は、建材、化学および太陽電池のプレイヤーについて次の点で貴重な認識を提供する分析となっている。
・市場参入機会
・戦略的なパートナーとして見込みのある候補者
・成功を生み出す市場開発と新技術
・従来の薄膜太陽電池技術が特殊用途でどのように競合していくか
「大企業にとっては市場が小さすぎて関心の的にはならないかも知れないが、価格差ではなく、美的差別化を持つBIPVコンポーネントを提供できる技術力を持つメーカーが参入の鍵を握る」とラクスリサーチのアナリスト、Johanna Schmidtke氏は見ている。「これは、BIVPの関心を高めながら、自社独自のビジネスを差別化していく建築家や建物外観スペシャリストにもあてはまることだ。」
レポートは、BIPVに取り組む81社について、ラクスリサーチの太陽電池技術供給業者、設置業者データベースを利用している。PV技術プロバイダ、モジュール/システム開発者、PV設置業者、建物のサプライヤーと建築家などBIPV市場の包括的な展望を形成する29社とのインタビューを通じて得たインテリジェンスを含んでいる。
・高い価格水準と標準の欠如が普及を遅らせている。高度にカスタマイズされた製品と低い生産数量のために、合理化によってコストを下げることが妨げられている。価格が高いことが成長を限界付け、2013年で57億ドル、694MW。これは太陽電池市場全体の3.7%に過ぎない。
・規制、建築サービス、材料の改善が需要を押し上げる。経済の活性化よりも、BIPV専用の補助金や美観が成長に貢献してきた。しかし、建物の一部であり、PV技術でもあるBIPVの二役をカバーする標準法規によってカスタマイゼーション(特注)問題をコントロールし、同技術の法外な価格を抑制する。
・予測の範囲ではBAPVは優勢。BIPVは現在、BAPVに対して美観や補助金の面で優位にある。しかし、PVモジュールメーカーは、この美観ギャップを埋めようとしており、これはBIPVメーカーにとって価格プレミアムを下げる圧力になる。
Schmidtke氏によると、BIPVは岐路に近づきつつある。「極めて特殊な美的ニッチ市場として緩慢な成長を続けるか、さもなくばPVと建築業界の間隙を埋めるかだ。後者であれば、イノベーション、投資だけでなく、標準化が必要だ。しかし、それによって真の成長機会が得られ、将来的にも安定する」と同氏は指摘している。