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NICT、ドイツの衛星と双方向レーザ伝送に成功
March 31, 2009, 東京--情報通信研究機構(NICT)は、ドイツ航空宇宙センター(DLR)及び欧州宇宙機関(ESA)と共同で、各機関が保有する光地上局とTerraSAR-X衛星との間での衛星〜地上局間レーザ伝送実験を開始した。
NICTでは、2008年12月に初めて同衛星との双方向レーザ伝送に成功し、大気を通過するレーザ光の伝搬特性データを取得。現在は今後の実験について調整をしており、取得した実験成果に基づいた大気の影響を低減して高精細画像の伝送などを可能とする効果的な光の送受信方法について、さらなる研究を進める。
衛星で取得した高精細画像の伝送など、将来の宇宙活動を支える大容量通信回線として、衛星間や衛星と航空機などの飛翔体間、及び衛星や飛翔体と地上設備との間をそれぞれレーザ光で結ぶ技術が注目されている。このうち特に、衛星−地上間の通信では、大気を通過するレーザ光の伝搬特性の把握が重要となります。ここで、レーザ光の大気伝搬特性は、標高など、衛星の通信相手となる地上設備の周囲の環境によって異なる。そのため、異なる環境での伝搬特性データの測定が求められている。
DLR、ESA及びNICTの三機関は、それぞれ標高や気候条件の異なる場所に光地上局を設置している。このため、それぞれの光地上局が同一の光通信衛星を相手としてレーザ伝送を実施することにより、大気がレーザ光の伝搬特性に与える影響を異なる環境下で観測できる。
今回、the German Space Agencyのthe German Space Operations Center GSOC (Oberpfaffenhofen near Munich, Germany) 及び光通信装置(LCT)を作製したTesat SpaceCom (Backnang, Germany)のサポートと共にDLR Institute for Communications and Navigationが企画調整を行うことにより、この国際共同実験を実施。
今回の実験では、三機関が予め、光地上局側の測定項目や測定方法の共通化を図り、衛星TerraSAR-Xを共通の相手として実験を行っている。これにより、標高などについて異なる環境がレーザ光の大気伝搬へ与える影響を評価するデータが取得される。NICT本部に設置している光地上局を用いて、 2008年12月に、衛星との双方向レーザ伝送に成功し、大気を通過するレーザ光の伝搬特性データを取得した。
大気を通過する光の伝搬特性は、今後、宇宙と地上とを結ぶ大容量通信回線の検討に必須の情報。NICTでは、今回の測定で得たレーザ光の大気伝搬特性データに基づき、大気の影響を低減して高精細画像の伝送などを可能とする効果的な光の送受信方法について、さらなる研究を進めていく。