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NICT、光ファイバフューズの遠距離検知・阻止に世界で初めて成功

March 31, 2009, 東京--独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は、情報通信量の急激な増加に対し、光ファイバの限界を超えた光パワー集中による “ファイバフューズ”と言われる光ファイバの破壊伝播現象の遠距離検知に世界で初めて成功した。
従来は、遠方からの検知が困難だったが、新手法の導入で、通信インフラの広域破壊や高価な通信機器の焼損を未然に防止するための、高速遠隔検知・防護機構を低価格かつシンプルな構成で実現した。この装置は100分の1秒以下でファイバフューズを止め、光ファイバの破壊をわずか数ミリ以下にとどめることができる。
日本の光ファイバブロードバンドサービスは世界一の水準に達しているが、これらのサービスを支える通信インフラ中の光ファイバを流れる通信容量への需要も急激に増え続けており、これに対応するために、波長多重光通信(WDM)が普及している。ところが容量の増設に伴い光ファイバ中の光パワーが急増し、近い将来、限界に達することが重大な問題となっている。
 限界に達した光ファイバでは、微細なゴミやわずかな欠陥でコア(中芯)の温度が急激に上昇(数千℃以上)し、“ファイバフューズ”と呼ばれるプラズマ化現象が生じて、光ファイバを連続的に破壊する。この破壊は秒速数メートルで進むので、瞬時に対応しないと、光ファイバや高価な通信機器が破壊され更には広域のケーブル火災につながる恐れがあるが、これまで遠隔で検知する実用的な手段がなかった。
 NICTは、ファイバフューズの発生時、光送信機方向に戻ってくる微小な反射光から取り出した検知信号を用いて、わずか100分の1秒以内で光送信機を停止することができ、破壊される光ファイバを僅か数ミリまでに留める技術を開発した。開発技術は検出感度が高く、従来技術のようにファイバフューズの可能性のある箇所に逐一機器を設置する代わりに、遠方からのいち早い検知・阻止を実現している。また非常に簡便な構成で小型かつ経済性にすぐれているため光情報通信システムのみならず計測、加工用の高出力のレーザ機器などに汎用的に組み込むことが可能。
 NICTでは、今回の成功を踏まえて、製品化等の技術移転に向けて研究開発を進める。併せて、「今後の情報流通量の爆発的な伸びに対処すべく、ファイバフューズの起こりにくい新型光ファイバ及びこのような光ファイバでの高効率な光通信方式に関しての研究開発も着実に行っていく」としている。

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