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古河電工、1μm帯VCSELを用いた光インタコネクションを実現
March 23, 2009, 東京--古河電工は,波長1μm 帯VCSEL アレイを小型並列光モジュールに搭載し、10Gbps×12ch の大容量伝送を、これまでに無い低消費電力で実現した。
電気伝送で実現可能な速度と距離の制限から、チャンネル当たり10Gbps以上のボード間信号伝送において光インタコネクションの本格導入が見込まれている。一方、データ量増大に伴い益々高まるデータセンタ、伝送装置の省電力化ニーズも、光インタコネクション導入の推進力となっている。
古河電工では10Gbps×12chの伝送容量を満たした上で、省電力化を図ることを目標とし、これまで短距離通信で用いられている0.85μmVCSELと比較して下記のメリットがある、波長1μm帯VCSELを用いて光リンクの開発を行ってきた(1)。
1μm帯VCSELの特長
1. 低電流、低電圧駆動VCSELの実現:活性層にInGaAs歪量子井戸を用いることにより変調効率が高く、温度特性が良いVCSELを実現できる。これにより高温においても低駆動電流で10Gbps の高速変調が可能となり、VCSEL 自体の消費電力を低減できると同時にドライバICの省電力化が可能となる。
2. 1μm帯波長の効果:1μm帯波長では石英系ファイバの材料分散が0.85μm光に比べて約1/3と小さく、高速伝送において、VCSELのスペクトル幅仕様、及びファイバの帯域仕様の緩和が可能となり、コストメリットが期待できる。また、受光素子にInGaAs PD を用いることでGaAs PDで0.85μm光を受光する場合に比べて受光感度が約25%向上し、光源の低消費電力化に寄与する。
試作した並列光モジュールは、ハイエンドサーバ、ルータなどにおけるボード間、ラック間通信への適用を想定し、LSI周辺への高密度実装が可能なように小型化を図った。さらにシステムの保守性を確保するためにソケットを用いた脱着可能な構造とした。
内製の1μm帯高効率VCSELを用いて光リンクの低消費電力化に挑戦し、ケース温度15℃から80℃の範囲において、0.84W以下の電力で120Gbps 300mの伝送を達成。帯域あたりの消費電力は7mW/Gbps となり,光モジュール形態では世界最小。
1μm帯VCSELを搭載した並列光モジュールとOFS社で作製した波長1μm帯に最適化された広帯域マルチモードファイバを用いて光リンクを構成し, 10Gbps×12ch にて1000mの伝送を達成。
試作並列光モジュールの特長
・大容量伝送:伝送容量10Gbps×12ch (120Gbps)
・低消費電力:帯域あたりのリンク消費電力7mW/Gbps(ケース温度15℃〜80℃)
・1μm 帯光伝送:波長1060nm
・小型:モジュール本体13mm×13mm×3.4mm、電気ソケット及びヒートシンク実装後21.7mm× 21mm×13.7mm(SNAP12 MSA 準拠モジュールにMPOコネクタ勘合した状態に比べて実装面積約1/3)
製品化は2010年の予定。試作品は、OFC/NFOEC古河電工ブースで紹介。技術の詳細は口頭発表(OTuK1)で行われる。
(1) Laser Focus World Japan 2009年2月号参照