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日立と神戸大/福井大、次世代暗号技術の開発に成功
January 16, 2009--日立製作所(日立)と神戸大学(神戸大)、福井大学は、より安全な次世代ハッシュ関数「Lesamnta(レザンタ)」を共同で開発した。
この「Lesamnta」は、世界の暗号技術標準を事実上決定する米国商務省国立標準技術研究所(NIST)の次世代暗号コンペティション(SHA-3コンペ)において、次世代ハッシュ関数の候補として正式に認定された。
ネットワークを介して様々なサービスが実現される情報通信社会では、通信機器やICカードの不正利用を防止する技術や、文書データの改ざんを検知する技術が重要となっている。それらの技術にはハッシュ関数が利用されているが、現在最も広く用いられているハッシュ関数SHA-1は、暗号解析技術の進展にともない、その安全性が低下していることが報告されている。
NISTは、新しいハッシュ関数を選定するために、次世代ハッシュ関数選定のためのプロセスSHA-3コンペを2007年11月から開始し、候補となるハッシュ関数を公募した。
日立と神戸大、福井大は、安心・安全な社会の実現に向けて、次世代ハッシュ関数「Lesamnta」を共同で開発し、「Lesamnta」をSHA-3コンペに応募した。
NISTによる書類審査の結果、応募された64種類のアルゴリズムの中から「Lesamnta」を含む51種類のアルゴリズムが、2008年12月、次世代ハッシュ関数の候補アルゴリズムとして正式に認定された。
「Lesamnta」は、実装の容易さや処理速度といった要件を配慮しつつ、安全性を最も重視したアルゴリズム。「Lesamnta」では、日立がRFID向けに開発したハッシュ関数MAMEの設計指針を継承しながら、従来のブロック暗号研究で培った安全性評価等の技術を活用し、高いデータ攪拌性を有する複数の基本関数を、安全性と効率性とを考慮して最適配置することで各種暗号解読への耐性を実現している。さらに、様々な製品やシステムで容易に実装できるようバイト単位の処理を基本としている。
その結果、「Lesamnta」は、NISTでの評価基準の一つでもあるハッシュ関数SHA-2と比較して、十分に高い安全性を有するとともに、各種プラットフォームで容易に実装することが可能。
今後は、NISTの主催する公開研究会等において安全性や性能等の面から候補の比較が行われ、2012年にNISTにより次世代ハッシュ関数SHA-3が選定される予定。
この成果は、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)からの委託研究「次世代ハッシュ関数の研究開発(2007年度〜2008年度)」による。