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レーザ切断で上昇気流に乗る
この宇宙構造物の構造物材メーカーのビジネスは、レーザ切断に伴うコストと時間の節約によって急上昇している。
米J&N メタルプロダクツ社(J&N Metal Products)は、2006 年7 月に創業して以降、急成長を遂げている。その当時、社長のジョーダン・ブラウン氏は半年から1年の間は彼の地下室を拠点として2年以内にはレーザ加工機を購入したいと考えていたが、この会社は予想よりも早く業績を上げた。創業8 ヶ月を待たずして、J&N 社は4900 平方フィートの作業スペースと組立エリアをもつ新しいビルに移り、従業員7 名を抱え、米マザックオプトニクス社からハイブリッドレーザ加工機Super Turbo X Champion を購入した。
2007 年1 月に発注し、同年3 月に納品されたこのレーザ加工機は、すぐに稼動を始めた。ブラウン氏によると「月曜日に納品されて、火曜日にはパーツの切断をしていた」という。彼の会社は、民間や政府部門向けの異なるタイプの宇宙構造物の構造材やパネル材、その他産業用パーツを製造している。
ブラウン氏は、新しい機械を手に入れたいと切望していた。数千ドル相当のシートメタル(板金)切断作業をアウトソーシングしていたため、彼自身と彼の顧客にとって時間とコストの両面で負担になっていたことがその理由だ。彼は、「7 〜 12 月までの間に、5万5000 ドル相当のレーザ加工をアウトソーシングした。しかし、われわれが直面した最大の問題はリードタイムだった。顧客は週単位ではなく日単位で試作品の加工を要求する」と語る。
昨年3 月以降、J&N 社は同社全体の99%、レーザ加工では100%のアウトソーシングを廃止し、期待どおりの成果をあげた(図1 )。ブラウン氏によると、「新しいレーザ加工機によって、われわれも顧客も25 〜 40%のコスト節約ができた上、輸送費も減った。もっとも大きいのは、ここに加工機があるという便利さだ。もし誰かが誤った場所に穴あけ加工をしてしまったら、すぐに違うパーツを切断すればよい。レーザ加工機がなかったら、そのパーツを発送しなくてはならず、少なくても5日間はかかる」という。
ブラウン氏は、消耗品のパーツや使い捨ての装置を作る地元企業に入社する前は、727、747、DC-8 といった航空機の航空整備士としてキャリアをスタートした。彼が自身の仕事を立ち上げるためにその会社を辞める頃には、組立、機械製図、レーザのプログラミングをこなしながらセールスチームの一員として働き、社用機のパイロットも務めていた。ブラウン氏がマザックオプトニクス社のレーザ加工機を初めて動かしたのは、その会社でのことだった。彼は、「前の会社では、シンチナティとマザックのレーザを使ったが、個人的には信頼性の点でマザックが好きだ」と語る。スタートアップ企業としてはレーザ加工機の購入コストも考慮したと加えた。
J&N 社は軍用ヘリコプタのパーツ製造からスタートしたが、レーザ装置のおかげですぐに多角化した(図2 )。彼は、「地元の人たちにレーザを持っていることが知られれば、毎日電話を受けるようになるものだ。今では産業用のコンポーネントやパーツにもかかわるようになって、2台目を検討中だ。われわれがやっている仕事のいくつかは、数週間、加工機を占領してしまうが、抱えている仕事の量が理由で顧客にそっぽを向かれたり、遅れをとったりしたくはない」と語る。
レーザがいかに貢献するか
マザックオプトニクス社のChampionは、一定の長さのビームを発振するため、光学系を変えることなくあらゆる材料や厚さのシートを均一に切断できる。そのため、調整時間やダウンタイムを解消できる。ブラウン氏は、「われわれがアウトソーシングしていたコンポーネントの90% は、厚さ1/8 インチ以下のアルミニウムだった。そのため、現状ではこの機械が最適だと判断した」と説明する。
そのTakumi フレームは卓越した振動制御が実現できるように設計され、高精度の切断加工を約束する。空中の薄膜上を移動する軸を動かし、ガイドする非接触式のリニアモータは、円滑に加速し横速度は最大984ipm だ。y軸に沿って円滑に動く4 × 8 フィートのワークテーブルもこの装置の特長だ。
新しい機械でブラウン氏が気に入っている機能は、PREviewコントロールだ。彼は「覚えるのが非常に簡単だ。本当に、本当に、本当にユーザフレンドリな機能だ」と加えた。