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トラック産業におけるレーザの導入

レーザ加工によって、生産性の向上と生産コストの低減が可能になる。

 “フレイトライナー(Freightliner)”は、われわれの経済に不可欠な大型トラックで(特に米国において)よく目にするブランドだ。特定のメーカーを指すだけではなく、“フレイトライナー”と聞けば、すぐに18輪トラックのイメージが思い浮かぶ名前だ。トラックは全て大きなものだが、フレイトライナーのトラックはどういうわけか「より大きい」というイメージがある。このイメージは、やがて大型トラックの走行音やギアのシフトや、任務(つまり米国の貨物を運搬すること)遂行のために夜を徹して走る、ということに連想されていく。
 米フレイトライナー社は、アルミフレームのセミトラクターメーカーとして1942年に操業を開始し、1981年には独ダイムラー・ベンツ社(現ダイムラー社)に買収されている。フレイトライナー社は、北米における大型トラック最大のメーカーである。同社はセミトラクターでもっとも有名だが、普通トラック、スクールバス、特注のシャシなど、幅広い製品群を製造している。

OEM 生産

 車両やシャシの製造は、7カ所の工場で行われている。工場は、オレゴン州、カナダ、メキシコに1カ所ずつあり、残り4カ所はカロライナ地方に集まっている。ノースカロライナ州のガストニアにある工場では、同社の全製造工場と8カ所の部品配送センター用の部品の製造を専門にしている。
 フレイトライナー社の部品製造工場では、プレス板金の車体用部品から成型済みのヘビー・ゲージなシャシ部品までを生産している。この工場は、レーザ、パンチ、せん断、工作機械、溶接、e-coating(防食加工)など、トータルな製造能力を有している。製造工場は、10台のレーザを所有し、その何台かに関しては導入が1994 年に遡る。最も新しい2台は、2006年4月に稼動を開始した三菱電機製レーザだ。
 2004年、上昇するレーザの保守費用、増加するダウンタイム、現在の業界標準に到達しない切断速度などに対抗するため、工場では委員会を結成した。信頼性、速度、使い易さの改善に加えて、工場側は、彼らの装置の単一供給源となり得るベンダーを求めていた。しかし、いくつかの企業の既存装置は修理については複数の会社の関与を必要としていた。
 このレーザの選考を担当したチームには、もっとも影響が大きい三つの分野、つまりエンジニアリング、操作、保守を担当するメンバーも参加していた。必要不可欠なものと希望するもののリストを作成し、可能性のあるレーザ装置メーカーを特定して短いリストを作成した。実際の導入設備を訪問し、各訪問後の意見の比較と結論のとりまとめを行い、購入にあたっての提案を行った。
 このチームは複数の、すでに稼動している設備を訪問したが、そのうちの一つは特に印象的だった。レーザは故障中で、共振器のバックパネルが外れていたのだ。これは良いサインではない。しかしその一方で、別の工場では、タワー式の自動マテリアルハンドリング(材料搬送系)装置があり、このような装置を初めて目にしたこのチームのオペレータであるキャロリン・ミッチェム氏はすっかり魅了された。
 この三菱の設備では、ミッチェム氏は、フレイトライナー社のオペレータが他社のレーザで遭遇してきた焦点合わせの難しさを三菱レーザがどのように回避するかを学んだ。この設備のエンジニアと面会し、良い報告を収集してまとめた結果、保守技術者は「非常に感銘を受けた」という。
 フレイトライナー社のチームは、その設備を保有する会社のオーナーが、彼の4台のレーザを毎年アップグレードしているという言葉に驚かされた。彼は、そうすることによって確実に最新のレーザ切断加工機を所有し、後で「巻き返しを図る」努力をしなくてもすむようになる、と説明した。
 こうした記録を比較した後、このチームは購入に関しての提案を行ったが、三菱レーザが全員一致の選択だった。優れた仕様に加えて、三菱レーザは操作の簡単さでもこのチームを感心させていた。2006年、ガストニア工場では、2台の古いレーザを2kWの2015VZIと4kWの3718LVPlus、およびタワー式の自動化装置に置き換えた。

解決策

 2台のレーザ装置は、作業現場に劇的な効果をもたらし、生産性、生産コスト、品質に著しい影響を与えた。上級生産技術者のフィル・デビッドソン氏は、「工場は、2台どころか3〜4台の古いレーザを置き換えたのと同等の能力を得た」と語っている。新しいレーザは、より厚い材料に対処することが可能で、よりクリーンな切断加工ができる。能力の向上とそれに関連する生産コストの改善により、工場ではそれまで社内でアウトソーシングしていた多くの部品を持ち込めるようになった。
 新しい装置とソフトウエアは、生産性の向上、ワークフローの改善、マテリアルハンドリングの簡素化の点でもっとも大きな変化をもたらした。装置の信頼性も新しいレーザでは大幅に向上した。他のユーザの経験を参考にすると、こうした改善は初年度を上回る形でその後も継続すると見られる。
 フレイトライナー社は、今後2年以内に、最大3台の新たなレーザの購入を予定している。工場は、その部品生産工程のサポートを継続できる最適な装置を得るために、この専門知識と装置を活用することができる。




この記事は、米エムシーマシナリーシステムズ社(MC Machinery Systems)によって発行されたMitsubishi Experienceニュースレターに掲載された記事を編集、掲載したもの。www.mitsubishi-world.com

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