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パッケージ・プリンティング
ジェフリー・J ・コツェラ
レーザコーディングは、パッケージされたコンシューマ製品への魅力的なマーキング方式だ。
パッケージされたコンシューマ製品へのコーディング/マーキングのもっとも一般的な方法としては、インクによる印字、コードの転写、コードやマークを印字したラベルの添付などがある。しかし、最近の技術の進歩によって、小型、低出力のレーザがコーディング/マーキング用途の主流技術に加わり、メーカーの製品識別ニーズに対する魅力的な選択肢になっている(図1)。
差別化ポイント
インクでコードを印字したり、印字したラベルを添付したりする代わりに、レーザコーディング技術は、アブレーションやエングレービング(レーザ彫刻)といったプロセスを利用して材料の中に画像を取り除いたり溶かしたりして、高品質かつ永続的な(消えない)コードを迅速に作り出す。これはメーカーにとって、コスト効果が高く、効率的な、パッケージ製品へのコーディング/マーキング方式だ。
パッケージされたコンシューマ製品のコーディング/マーキングの他の方式と比較しても、レーザコーディングはパッケージング産業全体のスタンダードな方式になりつつあるようだ。では、継続的に高まるレーザ技術の人気を支えている「品質」とは何か?レーザコーディングの主な利点としては、消耗品(インクや溶剤など)のコストが発生しない、保守コストが最低限ですむ、装置のダウンタイム(非稼動時間)が短い、インクを使わないプロセスのため環境への影響が少ない、あらゆる素材へのコーディングが可能、容易に統合が可能、といった点が挙げられる。
市場の変化
新しい業界標準に見合う新しいコーディング技術を企業が求めるようになった背景には、パッケージング産業の市場環境の変化も影響している。企業が受ける顧客からの巨大な小売チェーン管理のための要請や、監督官庁からの指令は増加している。トレーザビリティ(追跡可能性)の確保やリコール低減のためのコーディング項目数の増加や、製造/コーディングプロセスで使うインク溶媒など有害物質使用の規制などがそうだ。
パッケージング産業では、通常、コーディング装置の購入にあたって、信頼性、柔軟性、コード品質、コスト効果、耐久性が重要視される。こうした点を満たすコーディング装置とは、消耗品が不要で、保守コストが最低限ですみ、迅速に消えないコード印字ができ、広範囲の素材にコーディングできる装置のことだ。米国包装機械工業協会(PMMI)の調査結果によると、機械購入時に重要視される上位項目は、信頼性(稼働時間対ダウンタイム)、スループット、安全性、マシンデザイン、切替時間、人間工学、機械操作のトータルコスト、柔軟性、購入価格だ。こうした項目のすべてにおいて、レーザコーディングは魅力的な選択肢といえる。
レーザの優位性
レーザコーディングが優位性を持っていることは明らかだ。米MARKEM社は、同社がパテントをもつドットマトリクス技術と低出力CO2レーザを組み合わせて、驚異的なラインスピードの高品質画像を可能にしている。ドットマトリクス技術は、コードを完全に印字する間にターンオン/ターンオフは1回のみという少ないレーザ動作のため、信頼性が高くコスト効果も高い方式だ。また、レーザコーディングは、シャープ、迅速、消えないコードが得られる印字性能と少ない日常保守によって、非常に生産的なコーディング方式だ。それらの優位性を併せもつコーディング装置、SmartLaseは、現時点では最もコスト効果の高いコーディング方式を顧客に提供している(図2)。
現在もっとも一般的なコーディング技術であるコンティニュアスインクジェット(連続インク噴射:CIJ)方式と比較しても、レーザコーディングは一貫した優位性を提供する。CIJ印字装置のオペレーションコストは、最大で年間6000ドルと高額だ。このうち2000ドルが消耗品、3000〜4000ドルが保守や廃棄処理費用だ。1時間程度のスタートアップ/シャットダウン時間の他に、装置の保守だけで週最大6時間。また、液状のインクや装置のダウンタイムが原因のコードのにじみによるパッケージのロスも発生する。
レーザコーディング技術は、現在市場にある他のパッケージマーキング技術に比べて柔軟性に富んだ技術でもある。インク要らずのプロセスのためクリーンで環境にもやさしい。また、装置に付随するアクセサリ、工具、技術によってダウンタイムを最低限に抑えられるため、コーディング作業実施のための固有の能力を備えている。さらに、健康/美容、冷凍食品、ペットフード、医薬品、コンシューマ製品、自動車用コンポーネントなど多くの産業において、レーザが提供するデジタルデータ入力と消えないコーディングが必要とされている。レーザは、さまざまな種類のコード(長/短、広幅/狭幅、動的/静的、グラフィック/シンプルテキストなど)をさまざまなサイズのパッケージに印字できる。また、さまざまな言語をさまざまな方向に、連続線上にも断続線上にも印刷できる。
ベンダの選択
レーザコーディング装置の導入が決まり、他の技術に追加したりアップデイトしたりする可能性を吟味する際、同じように重要になるのが正しいベンダ(製造供給元)の選択だ。ユーザは、そのコーディング装置を最大限に利用するためにあらゆる側面で積極的にパートナーとして関わってくれるベンダを探すべきだ。このような付加価値の領域には、信頼できるプログラム、統合ロジスティクスシステム(流通の作業処理を一貫して受託するシステム)、トレーニング、オンラインサポート、プロジェクト管理など、稼働時間や生産性、顧客満足を最大化するためのサービスが含まれる。
こうしたサービスこそ、コーディング装置の性能を統合・最適化し、装置ベンダとのパートナーシップを結ぶ上で得られる利益の全てを代表するものである。これらを完全に利用することによって、ユーザは生産的で満足のいく結果を得ることができる。
全ての予測において、レーザコーディング技術は更に普及すると示唆されている。また、この技術の採用を決めた企業が、生産性の改善、オペレーションコストの削減、そして製品価値の向上を実感することも明らかだ。