June, 9, 2025, 東京--東京大学は、半導体基板用ガラスへの極微細レーザ穴あけ加工技術を開発した。
今回用いたガラス基板はAGC株式会社より提供されたEN-A1で、次世代の半導体製造「後工程」に用いられる候補材料の一つである。この研究で開発された手法を用いると、レーザのみで直径10µm以下、アスペクト比(縦と横の比)が20程度の微細な穴あけができ、従来のエッチングによる穴あけよりも高いアスペクト比の加工ができる。
この成果は今後生成AI等に必要なハイパフォーマンスコンピュータやデータセンタ用のチップレットにおいて、回路基板の材料がガラスに移行する際に役に立つと期待される。
研究グループは今後も産業界と連携して、半導体パッケージ基板のさらなる微細化や高品位化を目指し、次世代半導体産業における日本の競争力強化に貢献していく。
研究成果の技術に関する詳細は、国際会議ECTC2025で報告された。
研究開発チームでは半導体基板として電気的・熱的特性が優れているEN-A1ガラスに対してレーザ加工のみで微細貫通穴加工を行った。
超短パルスの深紫外レーザを用いることで、ガラスに直径10µm以下の穴を貫通させることができた。アスペクト比にするとおよそ20程度。これまで、酸を使うエッチングでは高アスペクト比を実現することが困難だったが、深紫外レーザによる直接加工ではクラックがなく、高アスペクト比を実現できることが分かった。この加工は化学処理を一切伴わないため廃液処理などの環境負荷も低減できる。
これは次世代半導体製造の後工程において基板のコア材やインタポーザをガラスへと移行する際に貫通穴をあける技術として、重要なマイルストーンとなるものである。この技術は今後半導体のさらなる微細化や複雑化するチップレット技術において貢献することが期待される。
(詳細は、https://www.issp.u-tokyo.ac.jp)