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HKUST、世界最小の多機能バイオメディカルロボットを開発

January, 31, 2025, 香港--香港科技大学(HKUST)の工学部の研究者は、現在のモデルよりも60%小さい世界最小の多機能生物医学ロボットの開発に成功した。
イメージング、高精度な動作、サンプリング、薬物送達、レーザアブレーションなどの多機能操作が可能なこのロボットは、競争力のあるイメージング性能と障害物検出の10倍の向上を提供し、肺末気管支や卵管など、人体の狭くて困難なチャネルでのロボットアプリケーションへの道を開く。

このロボットは、現在の内視鏡ロボットよりも60%小さいわずか0.95mmのスリムなプロファイルで、3つの重要な仕様すべてを1台のロボットに同時に統合することで、「不可能な三位一体」を達成した。競争力のあるイメージング性能を提供し、障害物検出距離を最大~9.4mmまで延長し、理論上の限界から10倍向上する。また、優れた動作精度(30µm未満)を達成し、イメージング領域を固有の視野の~25倍に大幅に広げる。

電子コンピュータ工学科(ECE)のSHEN Yajing准教授と同氏のチームによって開発されたこのロボットは、4つの主要なコンポーネントによって小さなサイズを可能にしている。これには、体内で画像をキャプチャするための光ファイバアレイ、必要な場所に正確に治療を提供するためのカスタムツール、ファイバとツールを所定の位置に保持するための中空スケルトン、ロボットの動きを正確に制御できる機能化された皮膚が含まれる。中空の骨格はマイクロスケールの3Dプリンタで作成され、機能化された皮膚は磁気スプレー技術によって作られるため、ロボットを小さく保ち、手術中に簡単に滑ることができる。また、摩擦を減らすゲル状の外層も特徴。チームは、このロボットをin vitro気管支モデルと生体外ブタ肺でテストし、狭いスペースでのスムーズなナビゲーションを実証し、鮮明な画像を撮影し、困難な領域で治療を行うことに成功した。

Shen教授によると、この画期的なロボットは臨床応用に大きな可能性を秘めている。「小規模な連続体型ロボットは、インタベンション診断とインタベンション治療に有望視されているが、既存モデルは、コンパクトさ、正確なナビゲーション、視覚化された機能的治療をすべて1つにまとめることに苦労していることがよくある。われわれの研究は、体の手の届きにくい領域で早期診断と治療目標を達成することを目的とした手術用ロボットを開発するための重要なソリューションを提供する。継続的な技術の進歩により、ファイバスコピックロボットは近い将来、人間の健康により大きな貢献をすると信じている」とShen教授はコメントしている。

小型の連続体ロボットは、狭い空洞をナビゲートする能力を持ちながら、ステントや電気生理カテーテルの展開による心臓病や、シングルポート腹腔鏡検査による胃潰瘍や十二指腸潰瘍の穿孔の修復など、いくつかの疾患の治療に採用されている。この成功した発明をベースにして、研究チームはロボットの特徴をさらに洗練させ、実際の環境に適合させる予定である。

「われわれは、ファイバスコピックロボットの設計と制御をさらに最適化することを目指している。インタベンション手術中の安全性と信頼性を優先する。臨床シナリオでその性能を実証するために、in vivo試験を実施することを楽しみにしている」と、HKUSTのポスドクフェローDr.ZHANG Tieshanは話している。
この研究成果は、Nature Communications誌に最近掲載された。