January, 28, 2025, 東京--東京大学大学院工学系研究科の武田俊太郎准教授および吉田昂永大学院生(当時)らの研究チーム、日本電信電話株式会社(NTT)、情報通信研究機構(NICT)は、量子性の強い光パルスで計算できる世界初の汎用型光量子計算プラットフォームを実現した。
近年、光の連続量方式での汎用的な計算を目指した光量子計算プラットフォームが目覚ましく進展し、量子コンピュータの有望な方式として期待されている。しかし、これまで実現されたプラットフォームは全て、行える演算の種類が「線形演算」のみに限定された不完全なものであり、この演算だけでは現代のコンピュータより高速に計算できないことが知られていた。
今回、研究グループは、「非線形演算」も可能にする量子性の強い光パルスを光量子計算プラットフォームに導入することに世界で初めて成功した。このプラットフォームをテストベッド(試験用環境)として利用すれば、従来はできなかった非線形演算の実装や、量子誤り訂正処理の評価、さらには最適化や機械学習などの量子アプリケーションの探索が大きく進展する。また、今回のプラットフォームで採用している光回路構成は拡張性に優れた独自方式であり、今後これを多数の光パルスを用いた計算ができるシステムへとスケールアップしていくことで、将来的にはスパコンを超える誤り耐性型万能量子コンピュータ実現へつながるものと期待される。
発表のポイント
・世界で初めて量子性の強い光パルスに対して様々な演算を何ステップでも実行できる汎用型光量子計算プラットフォームを実現。
・従来は扱えなかった量子性の強い光パルスの利用により現代のコンピュータを超える計算の高速化への道が拓かれ、さらに独自方式の光回路により今後のスケールアップにも期待できる。
・このプラットフォームを利用すれば最適化や機械学習などのアプリケーションの探索が大きく進展すると共に、将来的にスパコンを超える誤り耐性型万能量子コンピュータへつながる。
(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)