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人工知能で胃ガンの化学療法の効果を予測

December, 27, 2024, 和光--理化学研究所(理研)生命医科学研究センター ガンゲノム研究チームの笹川翔太研究員、中川英刀 チームリーダー、国立国際医療研究センターの山田康秀 研究医療部長、国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科の本間 義崇 医長、近畿大学 医学部 免疫学教室の垣見 和宏 主任教授らの共同研究グループは、胃ガン患者一人一人のゲノム変異およびRNA発現データから腫瘍内の免疫活動の特徴を解析し、人工知能(AI)の一つの手法である機械学習(ML)を用いて、それぞれの化学療法の効果を予測することに成功した。

この研究成果は、事前にガン化学療法の効果を予測するガン精密医療および、新しいガン免疫療法の開発に貢献すると期待される。

今回、共同研究グループは、化学療法の開始前に採取した65例の進行胃ガン組織の全ゲノムシークエンス解析およびRNAシークエンス解析を行い、化学療法の効果との関連性を調べた。その結果、ガン細胞のコピー数異常や腫瘍内の好中球(TAN)などの特徴が化学療法の効果と関連することが分かった。また、TANについてシングル細胞RNA解析も行い、腫瘍の成長や転移を抑制または促進する機能を持つ分画(構成成分)があることが分かった。さらに、これら免疫ゲノム情報と臨床情報などの123項目の胃ガンの特徴を用いて、機械学習によって化学療法の効果を予測するアルゴリズムを開発し、その高い予測精度を確認した。

研究成果は、科学雑誌『Gastric Cancer』オンライン版(12月2日付)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)