ITMO 大学Ioffe Institute とオーストラリア国立大学の物理学者チームがメタマテリアルで覆い隠すことなしに、マイクロ波範囲で同質の円筒形の物体を完全に非可視化した。今まで不可視性は、光の方向変更で覆い隠す物のまわりに光度曲線を作ることができるメタマテリアル層に頼っていた。しかし、電磁波散乱の新しい知識をもとに、今回のチームは全くコーティングせずに類似した構造の物質を作ることに成功した。
同チームは水で満たされたガラスの円柱からの光散乱を研究した。本質的には、そのような実験は約100年も前から知られていて、均一な球からの散乱という古典的な問題の2次元類似物を意味する(Mie 散乱)。だが、この古典的問題には、屈折率の値が高い材料が含まれるときに明らかになるという特異な物理現象がある。Science Daily の記事によれば、研究では温度を変えることで屈折率を調整できる普通の水を使ったという。
「結局のところ、高い屈折率は、2つの散乱メカニズムと関係している。1つ目は共振散乱で円柱内の光の局在性に関係しており、2つ目は非共振散乱で周波数に対して滑らかに依存する特性を示す。2つのメカニズム間の相互作用は、ファノ共振と呼ばれる。研究者チームは特定の周波数で共振および非共鳴メカニズムを介して散乱した波が逆位相を持って相互に打ち消し合うことを発見した。これが物を非可視化する仕組みである。 この発見が、散乱する打ち消し合いによる均質な物質の非可視化という最初の実験観察につながった。さらに重要なことには、開発された技術は50℃~ 90℃までシリンダー内の水温を変えるだけで、1.9GHz の同じ周波数内で可視性から不可視性の状態へ切り替えることを可能にした」と、同記事は述べている。
今ではこの類似構造の円柱を生産することは簡単になっているので、この発見は重要である。これによりナノアンテナや不可視性ロッド、他の見えない要素など妨害を減らすために使う将来的な物質および要素の製造も促進できる。
詳細はScience Dailyのウェブへ。(2015/04/23)