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太陽事象は地球に影響を及ぼさないという研究結果

近年、地球上での先天性出生異常は「太陽粒子事象」つまりオーロラを引き起こしたり、時には通信や配電網を妨害する太陽からの宇宙線に含まれるスパイクに起因するかもしれないと示唆する研究があるという。たとえ高高度の航空機搭乗員が宇宙線から有害なレベルの放射に曝されたとしても、NASAが資金援助した新しい調査によれば、太陽の事象から発生した放射は、地球の地表レベルでは弱すぎることが分かった。この調査結果は、GeophysicalResearchJournalで発表された。「我々は、2つの異なる研究を確認した。双方とも、宇宙線と出生異常率との関係を示している。細胞内の突然変異を、1989年の太陽粒子事象と結びつけて考えた人もいる」と、ケンタッキー大学物理学教授でプロジェクト共著者のAdrianMelott氏は話す。後にMerlott氏と同僚は、太陽粒子事象からの放射量では、懸念するには十分でないと結論づけた。「我々には、矛盾がある。予想では、太陽事象からの放射は地表では非常に小さいことがわかっている。それなのに、実験的な証拠は出生異常を起こす何らかの事態が進行中であることを示唆している。理解はできないが、それはそれで良い。理解できない何かというのは、興味深い科学的問題への指針なのだから」とMelott氏は付け加えた。次に研究チームは、太陽からの宇宙線が地球の大気と反応する際に、危険な「副産物」をどのように生成するのか調査した。「宇宙線の大部分は陽子である。基本的に、宇宙線は原子からすべての電子をはぎ取った、核である。そのいくつかは太陽から来る。宇宙全体のあらゆる種類の激変的事象から来るものもある。宇宙線の大部分は大気と衝突して地面には到達しないが「空気シャワー」となって、その中で他の粒子を作り出し、そのうちの幾らかは地面に到達する」とMerlott氏は言った。チームの研究によると「空気シャワーは、電離放射線を通して地表の人間や他の動植物に最も深刻な脅威をもたらす。電離放射線は、原子または分子を分裂させることができる放射すべてをいう。それは様々な点で生命に影響を及ぼし、皮膚癌や出生異常などを引き起こす。「通常、海面の近くで得られる透過性放射線のおよそ6分の1は、宇宙線からの副産物からである」という。チームはまた、太陽粒子事象(ミュー中間子と中性子)によって形成される放射の構造についても調査し、ミユー中間子は地球に対し最も寛大であると断定した。「ミュー中間子は電子と同類のようなもので、重量がある。また宇宙線により大量に発生し、宇宙線から地上に到達する放射の大部分の原因となる。中性子は、多くの損傷を引き起こす恐れがある。しかし、宇宙線の殆どは決して地表に到達することはない。ごく一部は実際に地表に到達することがわかっており、これについては確認済である。太陽粒子事象の最中でさえ、宇宙線によるダメージはミュー中間子よりもっと少ないと思われる」と、Melotto氏は言った。チームの調査の次のステップは、DNAがミュー中間子曝露に対してどの程度耐えうるかについて理解することである。「ミュー中間子の影響を計算する際に、我々はミュー中間子の影響が何であるかについて標準的な仮定を使用した。だが、通常の条件下ではミュー中間子は支配的ではないため、これまで誰もミュー中間子のDNAに対する影響を実際に測定する実験を何度もおこなった人はいなかった。ミュー中間子は、例えば原子炉事故では重要でない。合成DNAを少しミュー中間子ビームに入れて、実際にその影響を測定するつもりである」とMelottは結んだ。詳細はScienceDailyのウェブへ。(2015/07/23)