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ETSIからTHz通信システムに関する最初のレポート2件

ETSI(欧州電気通信標準化機構:European Telecommunications Standards Institute)は、テラヘルツのワーキンググループISG THz(Terahertz Industry Specification Group)が作成した最初のグループレポート2件を発表した。このレポートはTHz通信標準化前の初期段階における主要な要素、つまり使用事例とスペクトラムを扱っている。ETSI ISG THzの役割は、THz技術の標準化前のさまざまな関係者が、標準化前の取り組みについてコンセンサスを共有し、将来の標準化への道を切り開く環境を構築することである。特にTHz通信(0.1 ~ 10 THz)の開発と標準化のための技術基盤の確立に注力している。
最初のレポート「ETSI GR THz 001」では、THz通信の使用によって可能になる、またはTHz通信の使用から大きなメリットが得られる使用事例を特定して説明している。これは、展開シナリオ、潜在的な要求事項、関連する運用環境・伝播特性・測定などが対象である。THz帯域では利用できる帯域幅が広いので、極めて高いデータレートを実現し、スペクトラム不足の問題を緩和できる。さらにTHz信号固有の伝播特性により、正確なセンシングやイメージング機能など新しい機能が実現できる。THz通信の特性によって新しい使用方法が可能となり、将来の6G通信システムで対処すべき新しい社会的課題への答が得られる可能性がある。課題には、現在のセルラーシステムでサポートされていない新しい機能(正確なセンシング、マッピング、位置特定など)に関連するものや、以前の通信システムでサポートされていなかった新しい使用事例に関連するものがある。このレポートでは、THz通信およびセンシングシステムがサポート可能な新しい使用事例を定義し、その要求事項をまとめている。特定された使用事例ごとに、展開シナリオの説明、展開に必要な前提条件、サポートする通信システムを介したサービスフローの例、使用事例によって有効になる事後条件、特定された潜在的な要求事項、伝搬の側面、範囲、モビリティを含む物理環境の説明を提供している。
2番目のレポート「ETSI GR THz 002」では、サブTHzおよびTHz範囲で関心のある周波数帯域を特定し、現在の規制状況を説明して共存研究で検討すべき現行のサービスを特定している。
100 GHz ~ 10 THzの周波数範囲は「THz 範囲」と呼ばれ、対応する波長は 0.03 mmから3 mmである。この範囲より下にはミリ波およびマイクロ波の周波数範囲があり、通信・非通信アプリケーションで既に広く利用されている。10 THzより上では、近赤外線および中赤外線スペクトラムが始まる。重要な用途に対応するために高い帯域幅と低い遅延への需要が増えるにつれて、より高い周波数帯域への関心が高まっている。

詳細は下記のウェブへ。(2024/04/05)。
● ETSIのニュース
https://www.etsi.org/committee?id=2346
●レポート①「ETSI GR THz 001」TeraHertz modeling(THz):Identification of use cases for THz communication systems のダウンロード
https://www.etsi.org/deliver/etsi_gr/THz/001_099/001/01.01.01_60/gr_THz001v010101p.pdf
●レポート②「ETSI GR THz 002」TeraHertz technology(THz):Identification of frequency bands of interest for THz communicationsystems のダウンロード
https://www.etsi.org/deliver/etsi_gr/THz/001_099/002/01.01.01_60/gr_THz002v010101p.pdf
● ISG:https://www.etsi.org/committee/2124-thz