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IEEEマイルストーン認定②島津製作所の質量分析計「LAMS-50K」

IEEE本部理事会はIEEE関西支部による申請を承認し、1988年2月に島津製作所が発売したレーザーイオン化質量分析計「LAMS-50K」を、IEEEマイルストーンに認定した。IEEEの銘板贈呈式は2024年11月15日の予定。提案書から予想される銘版の内容は次のとおりである。

【レーザーイオン化質量分析計、1988年】
島津製作所は1988年、モル質量が50,000グラム/モル以上の高分子を測定できる質量分析計を発売した。ソフトレーザー脱離イオン化技術を応用した世界初の市販装置として、分子生物学および医学の分野で新しい医薬品や診断の可能性をもたらした。この技術の主要開発者である田中耕一氏は、2002年のノーベル化学賞を共同受賞した。

•主な技術的成果の重要性、関係者、歴史的背景、人道的および社会的影響について
これは、高分子であるタンパク質の質量分析装置に関するものである。1980年代、分子生物学、医学、薬理学などさまざまな分野で高分子タンパク質の質量分析が必要となった。一般に分子は壊れやすく、大きな分子の質量を測ることはできなかったが、島津製作所は1985年に、それまで不可能とされていたタンパク質を破壊せずにイオン化することに世界で初めて成功し、この技術を搭載した装置に「傾斜電解イオンリフレクタ」と「遅延イオン抽出」という技術を用いて質量分解能を向上させた。さらに、検出器直前でイオンを加速する高感度化、検出器の寿命を延ばすブラインドイオン電子変換器、高速・高精度なスペクトル集積回路などの革新的技術が盛り込まれた。この技術の開発により、1989年には分子量7万分子を超える高分子の質量分析が可能となった。1988年に発売したLAMS-50Kで世界初となる技術を実現した製品である。島津製作所の田中耕一氏は、生体高分子の質量分析のためのソフトレーザー脱離イオン化法の開発により、2002年にノーベル化学賞を受賞した。この技術をベースにした製品はその後も多くの研究者によって開発され、現在では分子生物学、医学、薬学などさまざまな分野で欠かせないものとなっている。

詳細は下記のウェブへ。(2024/05/27)
●マイルストーン申請内容(IEEE):
https://ieeemilestones.ethw.org/Milestone-Proposal:Laser_Ionization_Mass_Spectrometer,_1988
●島津製作所のニュース:
https://www.shimadzu.co.jp/news/2024/pbz-pnz65turaki0.html