米国連邦通信委員会(FCC)規則パート2は、機器の認証の対象となるRF デバイスの2つの異なる認証手順、つまり証明(certification)と供給者適合宣言(Supplier’s Declaration of Conformity:SDoC)を規定している。Certification は、他の無線操作に有害な干渉を引き起こす可能性が最も高いRFデバイスを厳密に認証するプロセスであり、通信証明機関(Telecommunication Certification Body:TCB)に提出されたサポート文書と試験データの評価に基づき、認証関連の試験はFCC認定TCBが実施しなければならない。FCCは、この認証規則を更新し、新しい業界規格および改訂された業界規格を採用することを提案している。提案されているFCC 規則改定の概要は次のとおりである。尚、詳細は記事末尾にある通知(Notice)のリンク先を参照していただきたい。
FCCは、無線周波数(RF)の急速かつ広範な展開に対応するため、最新の業界標準を反映するよう規則の更新を提案している。その概要は測定および実験室試験手順に適用される規則に2つの規格を追加し、認定機関と試験・校正ラボに適用される2 つの規格を追加または置き換えるという提案である。該当規格には次のものが含まれ、主なFCC規則は表1のとおりである。
A.「放射性エミッション試験サイトの米国規格検証方法:
1 GHz〜18 GHz」(C63.25.1: 2018)
この規格には、1 GHzを超える周波数の試験サイトを検証するサイト電圧定在波比(SVSWR)アプローチとして知られるCISPR 16技術が含まれている。これは、アンテナ間の距離を変化させながら応答を測定する。C63.25.1では、タイムドメインサイト検証(TDSV)と呼ばれる効果的な新しい試験検証方法を使用するオプションも導入されている。
現在の規則では、30 MHz~1 GHzの放射エミッション測定に使用される測定施設は、ANSI C63.4: 2014(5.4.4節)のサイト検証要件に準拠する必要がある。また1 GHz~40 GHzの放射エミッション測定については、ANSI C63.4: 2014(5.5.1 a)のサイト検証要求事項が適用される。
B.「免許不要無線機器の適合性試験の手順に関する米国規格」(ANSI C63.10:2020)
この規格はANSI C63.10: 2013 に規定されている測定手順を更新し、現在FCC 規則、セクション2.910(c)(2)、2.950(g)、15.38(g)(3)で参照されている。具体的に言うと、この最新版の規格には以下の変更と更新が含まれている。
・周波数ホッピングスペクトラム拡散手順が更新され、完全なオン時間とオフ時間が正確に考慮されるようになった。
・デジタル伝送システム(DTS)および免許不要のU-NI(I unlicensed national information infrastructure)機器の手順が、最新のFCCKDBガイダンスに合わせて更新された。
・ミリ波測定手順を更新。
・TVホワイトスペースの試験方法を規格に追加。
・周波数変調連続波(FMCW)タイプの信号のパルス感度低下に関する考慮事項は、規格で対応されるようになった。
・充電周波数に関する情報を送信するワイヤレス電力伝送(WPT)機器の手順を追加。
・測定手順が全般的に更新され、従来「自動(aut o)」が必要だったアナライザの掃引時間設定をより正確にできるようになった。
・編集上の修正/更新が行われた。
・スペクトラルプロットを含めるための要求事項を追加。
・U-NII 機器の動的周波数選択(DFS)の概要を説明する情報提供のための付属書が含まれている。
C.「適合性評価:適合性評価機関を認定する認定機関の要求事項」(ISO/IEC 17011: 2017)
この規格の前のバージョンISO/IEC 17011:2014は、2014年にFCC規則に組み込まれた。新バージョンISO/IEC 17011: 2017 には、国際標準化機構の適合性評価委員会(International Organization for Standardization’s Committee on Conformity on Assessment:CASCO)の規格の共通構造との整合や公平性、機密性、苦情および訴え、管理システムに関する条項に対するCASCO 共通要素の組み込み、認定活動としての技能試験の認識、新しい定義の追加、リスク概念の導入、知識とスキルに関する有益な付属書を含む文書などの変更が含まれている。
D.「 試験および校正ラボの能力に関する一般要求事項」(ISO/IEC17025:2017)
現在のFCC規則セクション2.910、2.948、2.949、2.962、68.162 は、試験所認定に関連する要求事項についてISO/IEC 17025:2005を参照している。ラボ認定機関は、スタッフの技術的能力、試験方法の妥当性と適切性、測定と校正の国家標準へのトレーサビリティ、校正、試験環境の適合性、校正、および保守、試験品のサンプリング、取り扱い、輸送、試験および校正データの品質保証など、ラボのさまざまな側面を評価する。ISO/IEC 17025:2017が現在FCC規則で参照されている試験所認定基準の新しいバージョンである。新版では「ラボ」の定義を追加したほか、特定の規範的要件をパフォーマンスベースの要求事項に置き換え、プロセス、手順、文書化された情報、組織の責任に関する規格の要求事項を満たす際の柔軟性を高めている。
付録AにはFCC規則への提案が記載されているが、表題のみ以下に列挙する。
・パート2– 周波数割り当てと無線条約の内容;一般的な規則と規制
§2.910 参照する法人団体
§2.948 測定設備
§2.950 移行期間
・パート15– 無線周波数デバイス
§15.31 測定規格
§15.37このパートに適合するための移行規定
§15.38 参照する法人団体
・パート68– 電話網への端末機器の接続
§68.160 電気通信認証機関(TCB)の指定
§68.162 電気通信認証機関の要求事項
・パート73– ラジオ放送サービス
§73.1660 放送送信機の許容範囲
詳細はFCCのWebへ。(2022年1月25日)
https://www.fcc.gov/document/fcc-proposes-updates-standardsused-equipment-authorization