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2022年、最も重要となる技術はAI、機械学習、クラウドコンピューティング、5G:IEEEの新しい調査結果より

 世界最大の技術専門家組織であるIEEEは「2022年以降の技術の影響:IEEE Global Study」を発表した。これは米国、英国、中国、インド、ブラジルの世界的な先進技術を対象とした新しい調査で、350名の技術リーダーを対象に、今後1年で最重要の技術、その影響を受ける業界、今後10年間の技術動向をテーマにしている。

1.最も重要な技術、革新、持続可能性、未来
 全回答者中、5人に1人(21%)が、AIと機械学習、クラウドコンピューティング(20%)、5G(17%)が最も重要な技術と回答し、COVID-19の世界的パンデミックが、それを加速させたと述べている。
 AIが今後1年から5年で、ほぼ全産業で革新の大部分を担うことになると答えたのは95%にも上った。5G領域で、最も利益になるものについては以下のように回答している。

・遠隔手術および健康記録の送信などの遠隔医療(24%)
・遠隔学習と教育(20%)
・個人的・専門的な日常の通信 (15%)
・エンターテインメント、スポーツ、ライブイベントのストリーミング(14%)
・製造と組み立て(13%)
・輸送と交通管制(7%)
・二酸化炭素排出量の削減とエネルギー効率(5%)
・飼育と農業

 2022年に技術の影響を最も受けた産業セクターについては、回答者は製造業(25%)、金融サービス(19%)、ヘルスケア(16%)、エネルギー(13%)を挙げており、2021年初めと比較しても持続可能性、脱炭素化、エネルギー節約に役立つスマートビルディング技術の実装が、組織の最優先事項になっているとの回答が約9割を占めた。

2.職場環境の技術と人事協調、そしてCOVID-19
 COVID-19の影響は世界各地で異なり、リアル及びリモートのハイブリッド勤務が続いているが、出勤確認や空間利用データの分析、COVID や健康プロトコル、従業員の生産性、職場への信頼度、メンタルヘルスなどに関する職場環境技術やアプリの対応が、今までにないレベルで多かったという回答が、9割以上あった。課題としては、リモート労働とリアル労働のサイバーセキュリティの維持などがある。またパンデミック後、将来的に自社に必要な技術の決定については7割近くが困難を感じている。技術者の採用や、1年以内に技術職の空きを埋めることが困難と予測する回答も7 割を超えた。

3.ロボットは今後10年で伸びてくる
 回答者の8割は、今後5年のうちに労働の4分の1がロボットにサポートされ、その範囲は営業からITまでほぼすべてのビジネス機能にわたると予測している。10年先には、半分以上の労働がロボットにサポートされるだろうというのが回答者過半数の意見である。
 中でも最もロボットによるメリットが大きい分野は、製造・組み立て(33%)、病院と患者ケア(26%)、地球・宇宙の探査(13%)という結果になっている。

4.コネクテッドデバイスの普及が進む
 ハイブリッド勤務への移行とパンデミックは結果的に、スマホやタブレット、センサ、ロボット、車用やドローンなど接続されて仕事の管理を担当するデバイスを1.5 倍ほど増やしたという回答者が半数、残りの半数は1.5倍を超えて増えたと答えた。
 だが2022年、さらに多くのコネクテッドデバイスを管理するという質問には、技術的リーダーの視点は世界各地で違っている。仕事に必要なコネクテッドデバイスが2022年急増して管理不能になると回答したのは49%、そうならないと答えたのは51%と、拮抗している。インド78%、ブラジル64%、米国63%がデバイスの急増を管理できないと回答しているが、中国では大多数(87%)、UK では半分強(52%)が管理できると答えた。

5.サイバーセキュリティ、物理セキュリティ、備え、技術の展開
 サイバーセキュリティの潜在的課題の上位2 項目は、自身のデバイスを使う従業員(39%) やクラウドの脆弱性(35%) など、モバイルおよびハイブリッド労働力関連の問題である。その他の懸念事項にはデータセンターの脆弱性(27%)、ネットワークへの組織的攻撃(26%)、ランサムウェア攻撃(25%)などがある。全回答者の59%が、今後5 年間で、セキュリティ、監視、脅威の防止にドローンの使用を計画しているが、地域格差はある。セキュリティ用途で現在または今後5 年間にドローンを使用する計画は、ブラジル(78%)、中国(71%)、インド(60%)、米国(52%)で、一番少ない英国(32%)では、回答者の48%がビジネスでドローンを使用する予定はないとしている。 
 分散データベースであるブロックチェーンは、個人と第三者機関間の信用を強化する。ブロックチェーン技術の可能性が最も高い重要な用途の上位3つは次のとおりである。

・モノのインターネット(IoT) での機器間の安全な相互通信(61%)
・ 出荷品追跡とデジタル取引(51%)
・ 健康および医療の記録をクラウドで安全に保存(47%)
・ 指定されたエコシステム内の接続関係者を保護(47%)

 回答者の大多数(92%)は、1年前と比較してデータ漏洩や自然災害などの潜在的脅威に対応する自社の準備が整っていると考え、うち65%はCOVID-19によって準備が加速したと考えている。

6.この調査について
 「2022年以降の技術インパクト:IEEEの世界的な調査」)は2021年10月8日から20日に実施され、米国、中国、英国、インド、ブラジルの350人のCIO、CTO、ITディレクターなどの技術リーダーを対象に、1000人以上の従業員がいる複数の組織を調査。その調査対象は銀行および金融サービス、消費財、教育、電子機器、工業技術、エネルギー、政府、医療、保険、小売、技術、電気通信など。

 詳しくは下記IEEEのWebへ。(2021年11月18日)
https://bit.ly/3onow08
https://bit.ly/3AUJDvI