IEC 61000-3-2:2018+修正票1:2020に対する解釈シート1(ISH:Interpretation Sheet): 2021が2021年8月27日に発行された。内容は、7.4.3項の2番目の要求事項に関するものである。この規定は、定格入力電力が5 W〜25 Wの照明機器(クラスC)の要求事項が記載されており、要約すると次のとおりである。「入力電流の波形は、基本波入力電圧のゼロクロスを起点とし、60°またはそれより前で電流しきい値に到達し、65°またはそれより前にそのピーク値となり、かつ90°より後ろで電流閾値以下にならなければならない。電流閾値は、測定画面に現れる最大ピーク値の絶対値の5 %とする。位相角の測定は、この最大ピーク値を含む周期で行う。9 kHz以上の周波数成分はこの評価に影響を与えてはならない(例えば、IEC
61000-4-7:2002及び修正票1:2008の5.3に規定するようなフィルタ回路を適用するなど)。」
この規定に関して試験所およびクラスC機器メーカーは、IEC 61000-4-7準拠の測定機器を備えた高調波試験システムの一部が9kHzを超える周波数の電流成分を完全に除去しないと結論づけた。したがって位相角の評価は不正確になる。フィルタが使用されない理由の1つは、位相遅延を導入することによって位相角自体を変更できるからである。
疑問
7.4.3項の2番目の要求項目を適用する場合、9 kHzを超える周波数の電流成分の影響を回避するため、位相角をどのような方法で測定すればよいか。
解釈
試験所によって報告された問題を考えると、IEC61000-4-7の試験システムで位相角を測定すると9kHzを超える周波数の電流成分が正しく除去されないが、デジタルオシロスコープによる測定では、9 kHzを超える電流成分はピーク電流が発生する位相角に影響を与えることなく除去されるので、正確な測定ができる。これはオシロスコープの同期平均化モードを使用することで実現できる。
付属書
オシロスコープの誤った測定例と平均化された波形による正しい測定例が掲載されている。
このISHはIECのウェブから無料でダウンロードできる(ただしIECのアカウントが必要)。
詳細はIECのウェブへ。(2021-08-27)
IEC 61000-3-2:2018/AMD1:2020/ISH1:2021
https://bit.ly/3mE3San