TMD社から、米軍用レーダー、電子戦、通信システムをサポートする6 〜18 GHz、100 Wの交換用MPM

　RF、マイクロ波および高出力アンプの世界的大手TMD Technologies社は、超小型のモジュラーMPM（Microwave Power Module：マイクロ波パワーモジュール）PTXM9754 を発表した。このユニットは高性能の軍事レーダー、電子戦／電子攻撃／電子対抗手段（EW/EA/ECM※）や通信システムに最適である。「スーパーミニ」TWT※（進行波管）、ソリッドステート・プリアンプ、最適化された高密度スイッチング電源を使用して “簡単に取り付け可能な（drop-in）”アンプ・ブロックを形成する。この設計は、多くの船上、空中、地上を基盤としたシステムに組み込まれている既存の6 〜18 GHz MPMと同等のFFF（形状、フィッティング、機能／form、fit、function）を提供する。
　TMD Technologies社の営業・事業開発担当副社長Tom Curtin氏は、次のように述べている。「この最新ユニットは、既存の6 〜18 GHz 100 W（最小）MPMの代替として、当座の交換用として前例のない需要に直に対応できるよう設計されている。当社のロンドンにある設計施設で優先的に開発を進めた後、既存のDoDプログラムにすぐに対応可能な非常に高性能なアンプを、厳しい仕様に基づいて製造した」。

●特徴一覧
PTXM9754は、広帯域6 〜 18 GHzのTWTで、全周波数にわたり最小100 WのCWが可能である。高速フォーカス電極変調器を組み込んでいるので、高いPRF※（パルス繰り返し周波数）で動作が可能で、ECMやレーダーなどのパルス用途に理想的である。低ノイズのソリッドステート・プリアンプと連動する低ゲインTWTは、最適なノイズ性能を提供する。

●小型で軽量、高い信頼性
PTXM9754は、軽量（2.6 kg）かつ小型（203.2 x 196.85 x 35.6 mm）であるだけでなく、優れた熱管理機能を備えている。電気効率が高いので冷却は最小限で済み、広い温度範囲にわたって信頼性の高い動作を実現している。また、完全にカプセル化されたHVセクションにより、ユニットは高高度および高湿度で動作する。主電源は28 V DCである。

●システム設計者を支援
TWTと電源の統合により、TWTの相互接続（および関連する信頼性と安全上のリスク）が不要になり、システム設計者のタスクが単純化される。このような統合はシステム全体のサイズも小型化し、組み込みが容易になる。

　さらに、MPMはTWTの動作を最適化するよう工場で調整されているため、ユーザーによる調整や交換手配の合理化が不要になり、現場での交換時間が短縮できる。
　制御インターフェースが組み込まれていてリモート操作とステータスの監視が可能になり、組込み試験 （BI T※）用に診断出力が提供される。用途の広いPTXMシリーズは、多数のTWTモデルを組み込むように構成することもできるため、ユーザーは周波数とピーク電力のパラメーターを指定できる。
　詳細はTMD社のウェブへ（2020/09/11）

●該当製品ページ
https://tmdus.com/applications/radar/tmd-introduces-a-drop-inreplacement-6-18-ghz-100-w-mpm-to-support-the-us-militarys-radarew-and-communications-systems/

●プレスリリース（pdf）
https://tmdus.com/wp-content/uploads/2020/08/PTXM9754-product-press-release-final-august-2020.pdf

[※ 訳者注]
EW：Electronic Warfare ／ EA：Electronic Attack ／ECM：Electronic Counter Measures ／ TWT：Travelling Wave Tube ／ BIT： Built-In Test
PRF: Pulse Repetition Frequency