2020年7月22日、国際規格CISPR 36の第1版が発行された。表題は「電気及びハイブリッド電気の路上走行車両-無線妨害特性- 30 MHz未満の非車載受信機保護のための限度値と測定方法」である。この規格は元々2018年12月14日に発行予定で本誌No.71(2018年10月号)の規格ニュースにPRV(Pre-Release Version)の発行を掲載したが、最終国際規格案(FDIS)が否決されたため予定通り発行されなかった。その後に再審議され、今回の発行に至ったという経緯がある。
この規格は、電気およびハイブリッド電気の路上走行車両の車外で使用する30 MHz以下の受信機を保護するための限度値と測定方法を規定している。住宅環境で使用された際に、周波数範囲150 kHz~30 MHzの非車載受信機が距離10 mで保護されることを意図し、測定距離3 mの測定方法と限度値を規定している。この限度値の規定は磁界強度であり、電界強度の規定はない。磁界測定はX、Y成分(水平)のみとし、Z成分(垂直)を除く。検波モードは準尖頭値である。
無線受信に妨害を引き起こす可能性がある電磁エネルギーの放出、つまり内蔵された駆動用バッテリ(traction battery)により動く電気自動車およびハイブリッド電気自動車が道路を走行中に放出する電磁エネルギーに適用され、適用範囲は100 V~1000 Vの駆動用バッテリを搭載した車両である。適用範囲外の条件は次のとおり。
・CISPR 14-1が適用される電気自動車
・電気駆動だが持続速度が6 km/h以下の道路走行用車両
・電気モータが内燃エンジンの始動にのみ使用される車両(例:マイクロハイブリッド車など)および加速中にのみ追加の推進力として電気モータが使用される車両(例:48 Vマイルドハイブリッド車など)
付録Cには、将来の改訂用に検討中という以下の作業リストが掲載されている。
C.1 一般的なこと
C.2 プラグイン充電モードとWPT充電モード
C.3 OTS、OATS、ALSEの測定結果の相関
C.4 距離10 mの測定
詳細はIECのウェブへ。(2020/07/22)
https://webstore.iec.ch/publication/27203