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EUで製品を販売する際に必須の知識:電子製品に適用するCEマークとEMC関係のEU規格に対する簡単な手引き(その3)

基本規格/ Base Standards(IEC規格より提供される。内容は試験方法、試験機器の特性、校正方法):
・ EN 61000-4-2: 静電気放電試験法。民生/工業用供試機器(EUT)に適用
・ EN 61000-4-3: 放射電磁界イミュニティ試験法(80 MHz ~ 6 GHz)
・ EN 61000-4-4: EFT/Bイミュニティ試験法。バーストまたは高速過渡現象とも言う。長さが3 mを超える電源および信号のケーブルに適用する。
・ EN 61000-4-5: サージ試験法。落雷がケーブルに影響することを模擬した試験法で、シールド線にもこの試験が必要である。
・ EN 61000-4-6: コモンモードRF伝導妨害イミュニティ試験法。周波数範囲150 kHz ~ 80 MHz(製品規格によっては230 MHzまで拡張)、長さが3 mを超える電源および信号のケーブルに適用する。
・ EN 61000-4-8: 電源周波数磁界イミュニティ試験法。50 Hzおよび60 Hzで実施する。

一般規格/ Generic Standards(基本規格の修正可、製品規格が適用できない機器に適用):
・ EN 61000-6-1: 住宅・商業環境に対する一般イミュニティ試験規格
・ EN 61000-6-2: 工業環境に対する一般イミュニティ試験規格(電源線が公共電源網に直接接続されない場合)
・ EN 61000-6-3: 住宅・商業環境に対する一般エミッション試験規格(伝導と放射の両方)
・ EN 61000-6-4: 工業環境に対する一般エミッション試験規格(伝導と放射の両方)
・ EN 61000-6-5: 新規!(2016年6月発行)発電所および変電所環境に対する一般イミュニティ規格

製品規格/ Product Standards(どのような機器が適用範囲であるか明確に識別されていて、基本規格の修正が可能):
・ EN 55011:この規格はISM(industrial, scientific, medical/工業、科学、医療用)と呼ばれているEUTからのエミッション(伝導および放射の両方)の許容値および測定法である。
・ EN 55032/EN 55024 (EN 55035):この2つの規格の適用範囲はMME(multimedia equipment/マルチメディア機器)
である。以前のバージョンではITE(information technology equipment/情報技術機器の省略形)が使われていた。この2つの規格は以前のEN 55022(エミッション規格)に取って代わる。イミュニティ規格についてはEN 55024がまだ使えるが、EN 55035(イタリアではまだ整合規格ではない)に更新される予定である。
・ EN 61326-1: この規格は測定用、制御用、ラボ用の電気機器が対象である。これにより基本的(basic)、工業用(industrial)、特別(special)という異なる3つの環境を定義している。この3つの環境下ではレベルおよび限度値が同じではないので、メーカーは予め環境を選ばなければならない。
・ EN 60601-1-2: この規格は医用デバイスや医用機器を対象とした電磁妨害の要求事項および試験を扱っている。この規格には重大な改訂プロセスがあった。第4版(2014)には相当な内容変更があり、2018年末から強制規格となった。主な違いを簡単に紹介すると、EMC測定と試験プロセスに対するメーカー関与が高まり、気中静電気放電レベルは15 kV、6 GHzまでの特定の無線機器や通信帯域で放射電磁界イミュニティ試験レベルが上がり、(救急車含め)軽車両に設置されたEUT向けの試験が追加された。

では最後に、次の質問でこの長い記事を締めくくろう。どこでEU規格を見つければよいか? まあCEN CENELEC(ヨーロッパ標準化委員会・欧州電気標準化委員会)のウェブから規格は直接買えないので、買おうと思わないこと。以下の参考資料にCEN国内委員会のリンクがあるので、そこから関係機関(Affiliates)およびCEN CENELECにリダイレクトして規格をダウンロードすることができる。

参考資料 
・EMC指令のガイド:
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/28323
指令2014/30/EU を適用する場合に、統一見解を得るのに役立つ。このガイドに法律的な権限はないが、メーカーと他のステークホルダーにとって興味深い、実際的な問題をいくつか扱っている。
・ブルーガイド(Blue Guide):
http://ec.europa.eu/DocsRoom/documents/18027
New ApproachやGlobal Approach(”Blue Gude”)を基本にした指令を実施するガイドのアップデート版。
・整合規格の定義
https://ec.europa.eu/growth/single-market/european-standards/harmonised-standards_en
・CEN CENELEC:
www.cencenelec.eu/standards/ENpurchase/Pages/default.aspx

著者紹介
Claudio Stazzone氏はEurofins Scientific GroupのEMCラボ Eurofins Product Testing Italy に勤務。日常的に顧客と共にEMC測定を実施し、試験所のEMC業務を技術的観点から統括管理している。また、EMC指令とRE指令のNotified Bodyとしての活動を担当している。
連絡先:claudiostazzone@gmail.com

2019年1月 by Claudio Stazzone