図2は、プロセッサ回路上のバス信号を測定しワイヤレスでiPadに配信するシステム全体を示している。基本的な電圧測定が可能な範囲は、わずか±40 Vだが、SMA/BNC変換コネクタを用いて標準的な10:1のパッシブ・オシロスコープ・プローブをオシロのSMAコネクタに接続することで、±400 Vまでの測定が可能になる。
オープンソースのアプリはまだ開発中だが、区分(目盛)当たり100 mV ~ 10 Vおよび区分(目盛)当たり50 ns ~ 5 sの時間軸の測定が可能である。トリガは、立ち上がリ/立ち下がりエッジ、エッジ全般、グリッチ検知、自動/通常モードがある。開発が進めにつれて2次的な機能がいくつか追加されるだろう。現時点での自動測定モードでは、電圧のピークとピーク間、最大値、最小値、平均知の測定が可能。最終的にはオーバーシュート、アンダーシュート、周波数、期間、デューティサイクル、立ち上がリ/立ち下がり時間の自動測定ができる見込みである。
ソフトウェアの技術仕様は以下の通り。
・Bluetooth 4.0をサポートするiOS9機器(iPhone 4S
以降、iPad 3以降、iPod touch第5世代以降、iPad
mini、iPad Pro)と互換性がある。
・オフセット、トリガ・ディレイ、水平・垂直スケールの
タッチジェスチャーをサポート
・トリガ制御(立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、
エッジ全般、グリッチ・フィルタ)
・測定:最初の出荷製品では(Vpp、Vmax、Vmin、Vavg)で測定可能。アプリのアップデートに
より、時間を基準にした測定(周波数、期間、デューティ・サイクル)も近いうちに予定されて
いる。
・オープンソース
おまけの話だが、私は非常に帯域幅が制限された結果が予想されるESD波形を取り込もうとして(図3参照)、手近にあったBBQ用点火棒(圧電素子使用)を使い、それをピグテールの入力リードに緩く結合させた。本当のエッジスピードは示されていないが、振幅ははっきりと表示されているので、いかにさまざまな機器がESDを発生しうるかというデモンストレーションには有益であろう。
最もパワフルなオシロスコープではないにしても、このサイズは私のEMCトラブルシューティング・キットに収納して、評価対象製品の重要な信号を測定する、あるいは少なくとも検証するには全く問題ない。手持ちのiPad の古い第3世代および最新の第5世代を接続してみたが、どちらもシームレスかつ2ステップのみで済んだ。製造品質は優秀で、入力には標準のパッシブ10:1スコープ用プローブを接続できる標準のSMAコネクタを推奨する。側面のボタンは取り込みスタート/ストップに使用し、電池寿命は非常に長い!基本的で経済的なオシロスコープを気に入らないことがあろうか?全くもってお勧めする次第である。
参考ウェブサイト:
3. Crowd Supply web site
4. Aeroscope web site
図2.基板組み込みプロセッサ回路からのバス信号を測定するAeroscopeオシロ
図3.点火棒からの近接ESD事象のスクリーンショット。帯域幅が制限されているために、本当の立ち上がり時間を表示するのは無理だが、振幅レベルは予想通りである。これによってスクリーン制御もよく観察できる。これは「夜間」用ディスプレイであることに注意してほしい。「昼間」用のディスプレイについては、もっと見やすい画面になるようまだ改善中である。
2017年5月22日 by Kenneth Wyatt