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しっかり役割を果たすポケットサイズの20 MHzワイヤレス・オシロスコープ(1/2)

 写真撮影において最高のカメラは手持ちのものであると、よく言われる。同じことが、単純な電子試験機器にも言えるだろう。例えば最近のクライアント事例だが、回路の1つのVcc 電圧を確認する必要があった。クライアントのラボではDMM(デジタル・マルチメータ)がすぐに用意できなかったので、タバコの箱程度の小型DMMを手持ちのトラブルシューティング・キットから取り出して使用した。クライアントはその小ささに驚いたが、小さくても役割はきちんと果たしたのである。
 これと似たような話だが、最新の総合的な集積技術によりオシロスコープはどんどん小型化しており、コロラドに拠点を持つある会社がCrowd Supply社を通じてAeroscopeという、20年前に使っていた旧型のデジタル・ロジック・プローブほどのサイズのワイヤレス・オシロスコープを発売したばかりである(図1参照)。最初の出荷分は売り切れたが、次の出荷分を199ドルで予約購入できる見込みである。
 Aeroscopeは、帯域幅20 MHz、サンプルレート100 MSPS、AD変換8-bit、1チャンネルのオシロスコープで、Bluetooth経由でApple社のiOS機器にワイヤレスで接続できる。充電バッテリは丸1日の測定が可能であり、Bluetooth通信距離は30メートルまで。アンドロイド用のアプリもいずれ入手できる見込み。100 MSa/sで波形を取り込んで保存し、取り込んだデータは全画面表示でスマホやタブレットにリアルタイムで連続的に送られる。
 ウェブに掲載されているAeroscopeオシロの技術仕様の全項目は以下の通り。

.サンプルレート:100 MSPS
.アナログ帯域幅:20 MHz
.入力インピーダンス:1 MΩ (17 pF)
.電圧分解能:100 mV/div ~ 10 V/div
.測定可能な入力電圧範囲: ±40 V
.チャンネル数:1
.サンプル分解能:8 bits
.メモリ深度:4k samples
.ワイヤレス・プロトコル:Bluetooth LE(Bluetooth 4.0)
.無線通信距離:30m以上
.iPadおよびiPhoneと互換性あり
.アプリのアップデートだけで新機能の追加が可能
.タッチジェスチャーで迅速な設定変更をサポート
.波形計測&カーソル内蔵
.バッテリサイズ:950 mAh
.バッテリ寿命:終日使用可能(標準8時間以上)
.プローブチップ、ミニ・グラバ、標準的なグランド・リード、ケースが標準付属
.MSRPメーカー希望小売価格:199ドル

 データシートはこちらからダウンロード可能(PDF)このユニットはワイヤレスなので、アース・グランドから完全に独立しており、ロボットや自律運転車両などのモバイル機器やプラットフォームにワイヤ接続できる。このように、オシロスコープのグランド基準は回路へのダメージを気にせずどこにでも接続できる。例えば、スイッチング電源の供給ノード測定に簡単に使える。

図1.20 MHzのオシロスコープAeroscopeには、取り外し可能なプローブ、ピグテール、測定用リード付きクリップ、ジッパー付ケースが付属している。

2017年5月22日 by Kenneth Wyatt