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医療用フローティング回路のESD トラブルシューティング(3/3)

【ICをバイパスする】
 もう1つ、図6に示すようにESDd 電流の方向を変えることで、ICをバイパスする方法がある。
 ESDエネルギーはシステムグランドに流れる傾向があるので、金属コネクタからシステムグランドへ低いインピーダンスと低いインダクタンスのESDストラップを挿入することにより、ESD電流全てがシステムグランドに流れることが可能である。このようにすれば耐性の低いICは影響を受けない。システムグランドは依然として分離されたグランドであり、もっと大きな基板の場合、アースグランドに対する容量を増やし、アースグランドにY-Capを接続していることに注意してほしい。それこそESD電流がシステムグランドに流れていく理由である。図7は、ESDストラップ接続の回路モデルである。
 ESDストラップは、殆ど全てのESD 電流の方向を、アースに対し多くの静電容量を持つシステムグランドへ流れるように変える。図8は、IC入力での電流を示しているが、非常にわずかである。

◆ESD障害防止設計◆
 ESDによるフローティング回路の破壊や誤動作を防止する最適な方法は、全ての基板に対して確固たる分離されたグランドを確実に取ることである。上述のような例では、グランド接続用のネジまたはストラップを経由して、周辺基板に分離されたシステムグランドへの低インピーダンス接続を追加すればよかったのである。

図6.ESDストラップの実装
図7.ESDストラップ挿入時の回路モデル
図8.IC 入力でシミュレートした電流発振波形(ESDストラップ挿入)

2017年6月27日 by Aziz Yuldashev