February, 7, 2025, Copenhagen--DTUの研究チームは、脳に光を届けるために使用できるテーパーポリマ光ファイバを製造するための信頼性と再現性のある方法を開発した。これらのファイバは、動物実験で科学者が様々な神経疾患の治療法や介入をよりよく理解するのに役立つ可能性がある。
テーパーファイバは、遺伝子組み換えニューロンと脳に供給される、または脳から収集される可視光との相互作用に依存する光遺伝学的実験やファイバ測光法などの神経科学研究技術に最適化されている。
「円筒形の標準的な光ファイバとは異なり、われわれが開発したテイパードファイバは円錐形をしているため、組織をより簡単に貫通し、脳のより多くの部分に光を届けることができる。さらに、硬くてもろいガラスではなく、柔らかく柔軟なポリマから繊維を作ることで、長期間の移植で組織の炎症を軽減できる」と、デンマーク工科大学(DTU)のニューラルデバイスおよびガスフォトニクスグループの研究チームメンバ、Marcello Meneghettiはコメントしている。.
Optica Publishing GroupのジャーナルOptics Lettersでは、研究チームは、脳内で効率的に光を送達するためのテーパーポリマ光ファイバをどのように設計および製造したかについて説明している。テーパーは、直径わずか50µm(人間の髪の毛の幅とほぼ同じ)の光ファイバから作られた。
「われわれのポリマテーパーは、より多くのニューロンの振る舞いを調節し、その活動を記録することを可能にし、より大きな脳回路の研究を可能になる。これにより、複雑な脳回路がどのように機能するか、行動がどのように制御されるか、そして脳の病気や障害がこれらの回路をどのように混乱させるかについて、より深い洞察が得られる可能性がある」(Meneghetti)。
より多くのニューロンを照射
テレコムに使われているような円筒形の光ファイバは、光を閉じ込めるのに非常に優れていおり、光はファイバに入り込み、途中でほとんど損失なく出力に届けることができる。しかし、円錐形のファイバは、テーパー状の先端の長さに沿ってファイバの側面から光が漏れることを許し、照らすことができる体積が増える。
神経細胞の活動を効率的に調節し、記録するためのグラスファイバテーパーの使用増を観察した後、研究チームはこの技術をポリマ光ファイバに適応させることに着手した。この研究は、神経障害を治療するための革新的なソリューションを開発するための欧州イノベーションカウンシルのPathfinderオープンプログラム下で資金提供された研究戦略、Move2Treat助成金によって資金提供されている。
「シリカまたはシリコンベースのニューロフォトニクスでは、長期的な炎症とインプラントの破損が持続的な課題である。インプラントと脳組織との間の機械的な不一致が炎症を引き起こし、これらの材料の脆性がサブミリメートルスケールでの骨折につながる。硬さが10倍も低いポリマベースのファイバを使用することで、これらの問題を大幅に軽減することができる」(Meneghetti)。
製造の最適化
新しいテーパーポリマファイバを作成するために、チームは数値モデルを使用して理想的なテーパー形状を決定し、それらを製造するための化学エッチングプロセスを開発した。チームは、目的のチップを達成するために様々な溶媒とプロトコルを試験し、形状を検証し、走査型電子顕微鏡で表面の完全性を確保した。
次に、研究チームは、テイパードポリマファイバを使用して、脳組織に似た光学特性を持つことが知られているアガロースゲル(agarose gel)のスライスを照射した。同じ直径と構成材料を持つ標準的な光ファイバと比較して、テーパード光ファイバを使用すると、光の横方向の広がりが2倍以上になった。
「この研究がこの分野のさらなる進歩につながると同時に、革新的なデバイスへの道を開くことを願っている。また、センシングなどの他のアプリケーションのためのこれらのテーパーに関心のある人にとっても、有用な足がかりになるかも知れない」(Meneghetti)。
次に、研究チームは、炎症を軽減する機能と能力を評価するために、動物モデルで新しいテーパードファイバを実証する予定である。将来的には、新しい製造プロセスとナノファブリケーションなどの後処理技術を組み合わせることで、光をデリバリして収集するだけでなく、電気信号を検出し、脳内の温度や化学変化を感知する完全に統合されたデバイスにつながる可能性がある。これにより、健康な状態と病気の状態の両方での脳活動について、さらに包括的な理解が得られる可能性がある。