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FCC、次世代衛星コンステレーションを承認:高速・低遅延ブロードバンドの実現へ

 2026年1月9日、米連邦通信委員会(FCC)はSpace Exploration Holdings, LLC(SpaceX)の第2世代Starlink衛星システムに関する大規模な許可を正式に承認した。これにより、同社は追加で7,500機のGen2 Starlink衛星を打ち上げ、全世界で合計15,000機の衛星を運用可能となる。
 今回のFCC承認は、グローバルな衛星ブロードバンドサービスの次世代化に向けた重要な一歩である。SpaceXはこれまでの低軌道衛星コンステレーション※ を拡充し、Ku帯、Ka帯に加え、V帯、E帯、W帯といった複数の周波数帯域を活用することで、固定衛星サービス(FSS:Fixed-Satellite Service)と移動衛星サービス(MSS:Mobile Satellite Service)の双方を強化し、通信容量の大幅な向上と広範囲かつ高品質な通信環境の提供を期待できる。
 設計面では、従来の大型で標準化された設計とは異なる小型化、モジュール化、特定の用途に最適化された物理的なサイズや形状、設計が一新され、最新の技術を組み込むことでビーム制御や周波数利用の効率化が図られる。従来の重複ビームカバレッジに関する規制が緩和され、複数のビームを重ね合わせることで通信容量を増強する設計も可能になった。さらに新たに設定された軌道高度は、340kmから485kmと低軌道の複数の層に分散されるので、カバレッジの最適化と遅延低減に寄与する。
 この衛星コンステレーションは単なる固定回線用途にとどまらず、米国外でのセルラー網への直接接続や、米国内でのモバイル通信の補完を視野に入れている。つまり地上インフラが整備されていない地域や、災害時の通信バックアップとしても機能する次世代モバイルサービスの基盤となることが想定されている。
 電気回路設計者にとって注目すべきは、広帯域かつ多周波数帯を扱う衛星通信システムの複雑化である。高周波帯域での効率的なRF回路設計、ビームフォーミング技術の高度化、そして軌道上での動的なビーム制御システムの開発が不可欠となる。加えて、衛星間および衛星-地上間の通信における遅延や干渉を抑制しながら、高スループットを維持するための信号処理技術も重要な課題となるだろう。
 今回のFCC承認は、衛星通信技術の革新と市場競争の加速を促し、世界中のインターネット接続環境の向上に大きく寄与するものと見られる。電気・通信設計の最前線にいる技術者にとっては、次世代衛星通信システムの設計・開発動向を注視し、新たな技術課題に対応することが求められる。
 詳しくはFCCのWebへ。(2026/01/09)
https://www.fcc.gov/document/fcc-approves-next-gen-satellite-constellation

[※訳者注]
衛星群コンステレーション(Satellite Constellation): 中・低軌道に打ち上げた多数の小型非静止衛星を連携させて一体的に運用するシステム