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自動運転システムの規則を発行(欧州委員会)

 欧州委員会は2022年8月26日付EU官報で、2022年8月5日に採択された委員会実施規則 (EU) 2022/1426を公示した。これは第1条~第4条と附属書I ~ IVで構成されている。
 以下に概要を紹介する。

第1条:適用範囲
この規則は、自動運転システムに関する以下のような使用事例に対し、カテゴリM(※1)およびN(※2)の完全自動化車両の型式承認に適用される。

a. 事前に定義されたエリアでの乗客の輸送、または物品輸送のために設計・構築されたデュアルモード車両を含む完全に自動化された車両。
b. 「Hub-to-Hub: 道程/旅行の始点と終点が固定された事前定義されたルートでの乗客の輸送または物品の輸送のために設計および構築された、デュアルモード車両を含む完全に自動化された車両。
c. 「オートバレーパーキング(Automated valet parking)」:事前に定義された駐車施設内での駐車場利用が完全に自動化された運転モードを備えたデュアルモード車両。

 製造業者は、規則 (EU) 2018/858 の第2条 (3) で定義されている車両の自動運転システムについて、この規則に基づいて個別または型式承認を申請することができる。ただし、これらの車両が、この規則の要求事項に完全に適合していることが必要である。

第2条:定義
抜粋して要約

1. 「自動運転システム(ADS:Automated Driving System)」とは、特定の運用設計ドメイン(ODD:Operational Design Domain)で持続的にDDT(Dynamic Driving Task)全体を集合的に実行できるハードウェアとソフトウェアを意味する。
4. DDTは、車両を操作するために必要なすべてのリアルタイム操作機能と短期的な目標達成機能を意味し、旅行のスケジューリングや目的地と中継地の選択などの重要な機能は含まれず、以下のサブタスクは含むが、これに限定されるものではない。

(a) ステアリングによる横方向の車両運動制御 (操作)
(b) 加速と減速による縦方向の車両運動制御 (操作)
(c) 物体と事象の検出、認識、分類、対応の準備による運転環境の監視(運用および戦術)
(d) 物体と事象に対する応答の実行(運用および戦術)
(e) 操縦計画(戦術)
(f) 照明、クラクションの鳴動、信号、身振りなどによる目立ちやすさの向上 (戦術的)

第3条:完全自動運転車の自動運転システムの型式承認に関する行政規定および技術仕様
第4条:発効は2022年9月9日で、この規則の全体が拘束力を持ち、すべてのEU加盟国に直接、適用される。
附属書 I:自動運転システムに関する完全自動運転車の EU型式承認に関して、ADS製造業者が提出する文書の情報を規定している。

附属書 II:ADSに適用される性能要求事項と技術仕様を規定している。
附属書III:適合性評価プロセスについて規定している。
ADS の全体的な適合性評価は、次のパート1~5に基づいている。

パート1:考慮すべき交通シナリオ。
パート2:ADS安全コンセプトの評価とメーカーの安全管理システムの監査。
パート3:最も関連性の高い交通シナリオの試験。
パート4:ADS検証に使用する仮想ツールチェーンを信頼性評価に使用するための原則。
パート5:サービス実行中の報告を確実にするためのメーカーによって確立されたシステム。

附属書属書IV:EU型式承認証明書(車両システム)

詳細はEU官報のウェブへ。(2022年8月26日)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32022R1426&from=EN

[訳者注]
※1:4つ以上の車輪があり、乗客の運搬に使用される車両 (例:2、3、4ドアの標準的な車)
※2:少なくとも4つの車輪があり、物品の運搬に使用される動力車