移動するターゲットの詳細を最大限に取得することが重要な場合、システム開発者は、画質を損なうことなくフレームレートを上げる方法を絶えず探していいて、理想的には最小限のコストあるいは追加コストなしに、実現することがベストである。。
ロスレス圧縮機能の紹介
・最大70%という高い最大フレームレートを実現。画像サイズの縮小により、カメラの全体的なスループットが低下し標準のGigEインターフェイスの帯域幅制限である約120MB/秒を超えるGigEカメラの最大フレームレートを向上させることができる。
・1つのバス上のカメラ数を増やす。リンク上の全体的なデータ転送量が少ないため、ユーザーは同じバス/接続上の他のカメラの画質やフレームレートを低下させることなく、単一のバスにより多くのカメラを接続でき、追加のホストアダプタは不要となるので、コスト削減になる。
・ディスクスペースの使用を最小限に。画像を圧縮形式で保存できるようになったので、ホストシステムでのディスク使用量が削減され、画像をディスクに書き込む時間が短縮される。
・画像データを100%維持し、パケットロスはない。
・無料!追加費用なし。
どのように動作するか
ロスレス圧縮は、Teledyne社のFLIR GigEマシンビジョンカメラの一部で利用できる機能で、独自のアルゴリズムを用いて画像データを圧縮することができる。この圧縮は、データをホストに送信する前にカメラで行われるので、高い最大フレームレートでデータを送信でき、画像データを100%維持しながら低い帯域幅でのデータ伝送が可能である。データがホストに送信されると、データは圧縮されずに小さい容量の圧縮形式で保存され、ディスクスペースをあまり使わなくて済む。
複数のGigEカメラの使用例
ロスレス圧縮の価値を実証するため、ラインに沿って異なるポイントに配置された3台の5MPカメラを持つコンベアベースのシステム使用例を見てみよう。システムが正確な出力を提供するには、このカメラのうち2台が20FPS※1 で動作し、3台目が30FPSで動作する必要がある。さらに産業環境と必要なケーブル長により、この場合はギガビットイーサネットを使用する必要がある。
このようなシステムは通常、上記の図1のようにセットアップされる。ホストPCは、BFS-PGE-50S5カメラ1台ごとに1つずつ、3つのギガビットNIC※2 に接続されている。ギガビットインターフェースの帯域幅制限により、カメラはネットワークインターフェースカードを共有できない(つまり各カメラのデータ送信要求は、NIC1つの帯域幅制限に近くなる)。3台目のカメラはフレームレート要求が高いので、1つのGigE NICで使用可能な帯域幅の範囲内で、解像度も妥協しなくてはならないだろう。3つのGigE NICを使用することで高価なセットアップになるのに加えて、ビジョンシステムの設計者は3台目のカメラの画像の詳細について妥協する必要があり、このアプリケーションでは理想的な結果とは言えない。
ロスレス圧縮を有効にすると(圧縮率を1〜1.8と想定)、同じシステムで最初の2 台のカメラを1つのインターフェイスカードで実行できるようになり、以前のセットアップからNIC全体がなくなってスペースが節約でき、故障ポイントが減少するので、設計コストの削減が可能になる。3番目のカメラは、以前のセットアップよりも低い帯域幅を使用してCPUリソースを節約しながら、5MPのフル解像度で必要な30FPSを実現することもできるようになる。
要約すると、ロスレス圧縮を有効にすると、カメラの解像度を下げることなくカメラの最大フレームレート(センサー速度まで)を上げることができる。さらに、リンク上のデータ削減も可能になり、周辺機器を減らしてCPU使用率の削減につながる。
これらの独自機能により、システムコストが削減され、フレームレートが向上し、障害点が低下、100%の画像データ維持が可能になり、追加コストは発生しない。
サポートされているカメラ製品
ロスレス圧縮機能(LLC:Lossless Compression)は、当社の最も人気のあるBlackfly S GigEモデルで利用可能。
この機能は、ソニーのPregius Sセンサを搭載した今後のすべてのTeledyne社FLIR GigEカメラBlackfly S GigEとOryxの両カメラシリーズでも利用できるようになる。
詳細については下記のウェブへ。(2022年1月22日)
● Blackfly S Gigシリーズ:
https://www.flir.com/products/blackfly-s-gige/
● Oryxシリーズ:
https://www.flir.com/products/oryx-10gige/
●ロスレス圧縮を有効にする方法:
https://www.flir.com/support-center/iis/machine-vision/application-note/using-lossless-compression/
●ビジョンシステムの出力を高速化する方法:
https://www.flir.com/discover/iis/ways-to-accelerate-visionsystem-output/
●ソニーのPregius Sセンサ:
https://www.flir.jp/discover/iis/machine-vision/pregius-s/
[※訳者注1] FPS:frames per second「フレームレート」と同義。
[※訳者注2] NIC:Network interface card の略。本文で後出。