September, 9, 2021--Vieworks社、Schneider社との提携でトータル光学ソリューションを提供
サンソ・キム
韓国のVieworks社がグローバルレンズメーカーの独Schneider Kreuznach社(Schneider社)と産業用レンズを共同開発し、TDIラインスキャンカメラに最適の最上級レンズ「VEO」をリリース。トータル光学ソリューションへの一歩を踏み出した。
トップクラスのカメラメーカーとレンズメーカーの提携
世界的にディスプレイと半導体分野が目覚しい成長を遂げている中、マシンビジョン業界においても、よりハイエンドな製品へのニーズの増加が目立っている。この流れの中、韓国のマシンビジョン業界も個々の部品の単純な組合せにとどまらず、部品の最高のパフォーマンスにとどまらず、最適のトータルソリューション提供に向けて取り組んでいる。
そこで、Vieworks社は製品の性能が最大に引き上げられる光学ソリューションを実現するため、Schneider社との提携を決めた。Schneider社は、この100年を通してさまざまな分野(一般産業用、一般光学用、軍需産業用、映画産業用)のレンズを設計及び制作しながら築いてきた専門性と技術力で高く評価されているグローバルレンズメーカーである。
Schneider社もまた、成長を遂げている韓国メーカーの技術力を認め、レンズ以外の光学ソリューションを提供することで自社レンズの性能を高めることができるパートナーを探していたこともあり、志を同じくするVieworks社との提携に至った。
Vieworks社のカメラにSchneider社のレンズ技術力が加わって誕生したのが、Vieworks社初の産業用レンズ製品群「VEO」シリーズである(図1)。
図1 Vieworks社の産業用レンズ VEOシリーズ。
TDIラインスキャンに最適化されたVEOシリーズ
VEOシリーズは、TDIラインスキャンカメラ向けに最適設計された製品であり、Vieworks社のVTシリーズと組み合わせて使用することで最高のパフォーマンスを実現できる。
VEOシリーズは、5つのレンズ群の製品を2つのサブシリーズに分けてリリースすることで、選択の幅を広げた。JMとCS、2つのサブシリーズの中で、手持ちのカメラとの互換性があるサブシリーズを選択して使用できる。VEO JMシリーズはVTシリーズ(M95)、VEO CSシリーズはVTシリーズ(M72)向けにそれぞれカスタマイズされている。
VEO JMシリーズは、16k/5μmラインセンサを搭載したVTシリーズ(M95)に最適のレンズであり、82mmラインセンサのカメラで最高のパフォーマンスが発揮できる。一方、VEO CSシリーズは、12k/5μmラインセンサのVTシリーズ(M72)に対応するレンズであり、62.5mmラインセンサのカメラとの組合せで最高の映像品質が実現できる。
高倍率、高解像度の高性能レンズ
抜群の性能を誇るVEOシリーズは、Schneider社が製造しているレンズの中でも最上位クラスであるダイヤモンドとサファイアクラスのみで構成されている。
レンズの結像能力の判断基準となるMTF(Modulation Transfer Function)性能の高さだけでなく、大口径(82mm)による位置ごとのMTF偏差を最小限に抑え、中央部から縁まで全領域に渡って優れたMTF性能を発揮した高性能製品である。色收差もまた抜群に少なく、最も多く採用される5μmセンサに最適化され、72LP/mm(上側基準)以上の狭線幅でも、性能低下を見せない。VEOシリーズは、最大5.0X倍率の高倍率レンズまでの対応を可能とし、VTシリーズと共に使用することで、ピクセル当たり1.0μmの解像度まで実現できる。
5.0X倍率レンズVEO_JM DIAMOND 5.0X/F1.3製品の場合、1.1μmのサイズまで分解できる優れた分解能(resol-ving power)を具現化する。最大F/1.3まで調節できる絞り値により、NA(Numerical Aperture)が0.305(物体側の基準)に達して、海外のライバル社の同一倍率のレンズと比べても優れた性能を誇る。
このように高い倍率と解像度により、VEOシリーズは高性能が求められる微小欠陥の検出にも更なるパフォーマンスを発揮する。3.33X倍率のVEO_JM DIAMOND 3.33X/F2.1製品の場合、ピクセル当たり1.5μmの解像度を実現する。しきい値(threshold value)を15に設定して欠陥検出力を検証した結果、Pin-hole欠陥の場合、0.6μm以上検出できることが確認され、同じ条件のIsland欠陥の場合、1.1μm以上の検出ができる。Open、Short欠陥の場合、Pin-hole欠陥より高い検出レベルを見せる(図2)。
図2 Pin-Hole、ISLANDの欠陥検出力の性能(VEO_JM DIAMOND 3.33X/F2.1 LENS 使用)。
VEOシリーズの優れた検出力は、さまざまな分野で活用できる。大面積、高速検査が必須のFPD(OLED/LCD/μLEDなど)検査分野で特にその能力が発揮でき、その他にも半導体ウエハ検査とPCB検査など、高性能が求められるさまざまな分野に適している。
完璧なカスタマイズソリューション
VEOシリーズは単にハイスペックな製品ではなく、ユーザーがより簡単に、さまざまな分野で適用して使用可能である。VEOシリーズの全製品は、V-マウントインタフェースを使用するため、マウントがより簡単に設置できる。また、最適性能ポイント(best azimuth point)がマーキングされていて、ユーザーがレンズを直接回して簡単にセッティングすることもできる。
ユーザーの照明の選択の幅をより広げるために、ビームスプリッター(beam splitter)を取付けて同軸(coaxial)タイプの照明が採用できるように制作された。何よりオートフォーカスユニットを含めたすべての光学系を1つのモジュール形態とし、構成がコンパクトであり、装備の採用という観点から光学系の幅が大幅に縮小できるので装備システムの構成が容易になる(図3)。
図3 Vieworks社の検査用光学モジュール。
VEOシリーズは、トータル光学ソリューションに向けたVieworks社の第一歩である。Vieworks社のカメラをベースにSchneider社の高性能レンズと光学的な特性外に、検査対象の製品に最適の照明ソリューション、かつ独自的なスマートカメラ技術を活用したオートフォーカシングユニットなどの技術を確保して、最終的にユーザーのニーズに最適の光学ソリューションを一度に提供するという目標を持っている。Vieworks社は、今後、単純な部品組み立てだけではなく、ユーザーに特化したカスタマイズ光学ソリューションを提供する。