June, 2, 2021, 仙台--理化学研究所(理研)放射光科学研究センター理研RSC-リガク連携センターイメージングシステム開発チームの姜正敏客員研究員(東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター助教)、高澤駿太郎研修生(東北大学大学院工学研究科博士前期課程)、高橋幸生チームリーダー(同センター、兼多元物質科学研究所教授)らの共同研究チームは、1枚の回折強度パターンから広がった試料の実空間像を再構成できるコヒーレント回折イメージング法(CDI)(シングルフレームCDI)を提案・実証した。
研究成果は、今後、動的現象を可視化するX線動画撮像としての展開が期待できる。
CDIには、平面波照明と走査型(通称タイコグラフィ)の二つがある。平面波照明CDIは照明領域より小さな孤立物体だけしか観察できないのに対し、走査型CDIは照明領域よりも広がった物体を観察できるが、試料を走査しながら複数回ごとの回折強度パターンを収集する必要がある。
今回、共同研究チームは、三角形など非点対称でエッジが鋭い開口を用いることで、シングルフレームCDIの像質が向上することを発見した。大型放射光施設「SPring-8」における実証実験では、1枚の回折強度パターンから空間分解能17 ナノメートル(nm)で試料像の再構成に成功した。
研究は、手法の提案については科学雑誌『Optics Express』オンライン版に、実証実験の結果についても同誌オンライン版(4月27日付)に掲載された。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)