2021年2月9日、ガイドISO/IEC GUIDE 98-6:2021の第1版が発行された。表題は「測定の不確かさ-第6部:測定モデルの開発と使用」。このガイドは、測定モデルの開発と使用に関するガイダンスを提供し、測定モデルの妥当性の評価についても説明している。特に測定手順、作業手順、文書標準の開発者には参考になる内容。測定モデルは出力量(測定量)と、測定に関与することがわかっている入力量との関係を説明している。このモデルは、例えば設計研究、プロセスのシミュレーション、エンジニアリング、研究開発でも使用できる。
こういった測定量は、i)測定の基礎となる1つまたは複数の現象つまり測定原理、 ii)特定の測定で生じる影響、 iii)対象となる人工物または試供品との相互作用、の3つに関連している。
提供されるガイダンスは、最初から測定モデルを開発する際に考えられるワークフローに従って編成されている。この作業フローは、測定量の仕様から始まり(第6節)、次に測定原理がモデル化され(第7節)、モデルの適切な形式が選ばれる(第8節)。このようにして得られる基本的なモデルは、測定および人工物または試供品から生じる影響を特定し(第9節)、影響を加えること(第10節)によって拡張される。結果として生じる測定モデルの妥当性評価についてのガイダンスは第12 節に記載されている。基本的なモデルと、作業フローの(完全な)測定モデルの区別は、測定モデルの相当部分を実施済みの読者に役立つはずだが、目的に合うよう、測定から生じるすべての影響が含まれているかどうか、確認もしたいことだろう。
測定モデルに見られる、量に対する確率分布割当てのガイダンスは、JCGM 100:2008 とJCGM 101:2008記載されている。このガイダンスは第11節で補完されており、統計モデルがどのように開発され、この目的のために使われているか、説明がある。
測定モデルを使用する場合、四捨五入や数値のオーバーフローなど、計算による影響を含む数値問題が生じることもある。異なる方法でモデルを表現し、計算上うまく機能させることで、このような問題をどのように軽減できるか説明されている。また、このような依存関係が存在する場合に、モデルの数式変更を使用して入力量間の相関影響を排除する方法も示されている。計測学分野の数例で、このドキュメントのガイダンスが解説されいる。
詳細はIECのウェブへ。(2021/02/9)
https://webstore.iec.ch/publication/68525