規格ニュースではEMC規格についての情報を掲載しているが、今回は基礎的な知識としてEMC規格担当の各委員会を紹介する。認定された規格委員会C63®(ASC C63®:Accredited Standards Committee C63®)委員会の構成は、まず「親委員会」としてC63® Main Committeeがあり、委員長はHoolihan, Dan氏。その下に小委員会(SC:Subcommittee) が8個あり、各委員会は次のように役割を分担している。
■ SC1: 技術と開発(Techniques and Developments)
既存および新たに提案されたC63® 承認済み規格文書を維持するのに必要な技術的専門知識とリソースを提供する。また、新規あるいは既存の測定方法、サイト認定方法、校正方法、関連機器に対応し、C63® 親委員会より割り当てられた範囲でのみ業務を実施する。
■ SC2:電磁環境影響、用語の定義、ベストプラクティス(E3 Terminology Definitions and Best Practices)
C63® の出版物について電磁環境影響(E3)用語を編集し、E3 用語の使用を米軍および国際標準化機関と調整する業務をおこなう。C63® その他の商用および米軍のE3規格を適用するガイドラインと、ベストプラクティスの作成も担当している。また、ANSI C63.14「米国規格、電磁環境影響(E3)など電磁両立性(EMC)の辞書」およびANSI C63.28「米国規格、EMCのベストプラクティスガイド」をメンテナンスしている。
■ SC3:国際標準化(International Standardization)
国際標準活動とASC C63® メンバーシップ標準活動と比較するフォーラムを提供し、C63® に推奨事項を伝える。国際的なEMC問題に米国が取る可能性のある立場に関わる親委員会であり、米国の規制および商業要求を考慮して国内および国際規格の調和を促進する。また国際規格委員会に提出するため、C63® の作業をUS National Committee Technical Advisory Groups(米国国内委員会技術諮問グループ)に紹介する際、C63® 親委員会に勧告することもある。
■ SC4:無線機器とISM 機器の測定 (Wireless and ISM equipment measurements)
親委員会ASC-C63® によって割り当てられた無線およびISMデバイス(照明、無線電力伝送、産業用および誘電体ヒーター、および類似の機器など)の既存および提案されたC63® 規格の作成とメンテナンスを担当する。
■ SC5:イミュニティ試験と測定 (Immunity Testing and Measurements)
親委員会ANSI ASC C63® の要求に応じて、イミュニティ試験技術および関連機器の新規および既存のANSI ASC C63® 規格の作成とメンテナンスを担当している。
■ SC6:認定/適合性評価 (Accreditation/Conformity Assessment)
試験所評価活動のガイダンスを提供し、試験所認定に関する案件に取り組んでいる。認定機関や試験所、規制当局の代表者は、EMC試験および校正活動の状況について報告する。
■ SC7:スペクトラム・エチケット(Spectrum Etiquette)
新しいまたは修正された測定法を提供するためのスペクトラム使用に関するマナー(Spectrum Etiquette) や無線の共存および関連する規格、プロトコルやメソッドおよび関連する測定機器使用、運用上の制約に対応し、動的スペクトラムアクセスなど効率的なスペクトラム利用を支援する。
■ SC8:医用機器のEMC試験方法(Medical Device EMC Test Methods)
親委員会ASC 63® が割り当てた医用機器の既存および提案されたC63®規格の作成およびメンテナンスを担当している。
以上のような分担作業により作成された最新の規格の一覧は「Status of C63® Standards」として下記のウェブで参照できる。主な掲載規格はC63.4a-2017、C63.5-2017、C63.10-2020 など。ドラフト段階の規格も確認できるので、規格開発動向を知るのに便利である。
詳細は下記のウェブへ。(2021/01/20)
●「Status of C63® Standards」リスト:
http://www.c63.org/documents/misc/matrix/c63_standards.htm
● ANSI ASC C63® トップページ:
https://www.c63.org/index.htm