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床の振動を利用して建物の占有者を検出する新システム

January, 18, 2021, Lausanne--EPFLで開発された新システムによりビルのオーナーは、床スラブに導入したセンサを使って占有者数を検出し、彼らの動きを追跡できる。この新しいアプローチは、老人ホームの安全性、より効率的なビルのエネルギー使用管理に特に役立つ。

ビル、製造工場、ショッピングモール、公共のスペースの多くは、占有者検出システムを導入している。これらのシステムは一般に、カメラあるいは占有者のモバイル電話に依存する。そのような技術は、プライバシーを侵害し、火事のような緊急時に機能しない可能性もある。ENACのApplied Computing and Mechanics Laboratory (IMAC)の研究者は、Ian Smith教授をリーダーとして、代替アプローチを開発した。「ビルのフロアスタブにセンサをインストールすることで、われわれは足音による振動を計測できる。それによってわれわれは、ビル内の人々の数を計算し、人々がどこにいるか、またその軌跡も検出できる」とこのテーマを完成させたIMAC PhD学生、Slah Driraは説明している。

人それぞれの歩き方
Driraのアプローチの課題は、ドアを閉める、あるいはものが床に落ちるなど擬似的イベントが原因となる背景ノイズの除去である。これらのイベントは、足音による振動と同じような振動を引き起こすことがある。別の問題は、歩行スタイルの大きな差に関係している。二人の異なる人々の間だけでなく、異なる環境下の同じ人による違いである。「われわれのセンサが記録する信号は、人の骨格、歩く速度、靴のタイプ、健康および気分に依存して著しく変わることがある」とDriraは言う。

同氏の方法は、先進的アルゴリズム、より正確に言えば、サポートベクトルマシーン(SVM)を使い、センサが記録した信号を分類する。解釈手順の中には、ピクセルベース画像認識でよく用いられる畳み込みニューラルネットワーク(CNNs)を真似たものもあり、特定占有者の足音の特性を判定できる。

実世界テスト
研究チームは、、4つの実物大床スラブを実行した。1つはIMACのセミナールーム、1つはIMACのオフィス環境、さらにEPFLキャンパスのMEDビルエントランス、シンガポールのオープンホールスペース。「この4例の研究により、われわれは大規模に占有者検出、局在化と追跡システムを評価することができた。既存の方法とは違い、われわれのものはセンサ数が、15–75 m2ごとにわずか1個、それに対して既存のものは2 m2 ごとに1個である。また、床スラブが均一な剛性でなくてもよい。さらに、他の方法の局在化特性は、単一の個人でしかテストされていなかった」(Drira)。

新システムは、多くの分野にアプリケーションがある。オフィスにおけるエネルギー管理プロトコルの強化、ビルセキュリティ改善(銀行やデータセンタ)、緊急時の占有者発見、病院や老人ホーム内の患者の探索。このシステムは、占有者のプライバシーを侵害することなく、その全てを実行することができる。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)