ニュース 詳細

IEC 61000-4-36:2020 発行

 2020年3月23日、IEC 61000-4-36: 2020の第2版が発行された。表題は「電磁両立性(EMC)-第4-36部:試験及び測定技術-機器及びシステムのIEMIイミュニティ試験方法」である。同時に赤線版(RLV)も発行された。RLVは前の版と比較して技術的な内容の変更全てを赤字で示しているので、変更点をすばやく簡単に比較できる。RLVは公式のIEC規格ではなく英語版だけであり、正式なIEC規格に合併されている。
 この規格は、意図的な電磁干渉(IEMI)発生源に対する機器およびシステムのイミュニティ評価の試験レベルを決定する方法を提供する。また、一般的なIEMI問題やIEMI発生源のパラメータ、試験限度値の算出方法などを紹介し、実際の試験方法を要約している。この第2版は、2014年に発行された第1版を廃止して置き換えるもので、技術的な改訂で構成されている。うち重要な技術的変更は以下のとおり。

– 付録Hに、ハイパーバンド(hyperband)※ およびメソバンド(mesoband)※ のトランジェントイミュニティ試験方法を追加
– 付録Iに、放射ハイパーバンドおよびメソバンドのトランジェント電磁界、測定の不確かさのためのセンサの校正方法の追加。

 詳細はIECのウェブへ。(2020/03/23)

● IEC 61000-4-36: 2020
https://webstore.iec.ch/publication/29783?utm_source=Webstore+Just+Published&utm_campaign=6365bed54c-JUST+PUBLISHED+by+the+IEC+-+Edition++2020-03&utm_medium=email&utm_term=0_61d266ee9e-6365bed54c-51596217

[※訳者注]:ハイパーバンド(hyperband)およびメソバンド(mesoband)は電磁波の周波数に対するエネルギー分布を分類した名称である。その他にハイポバンド(hypoband)およびサブ・ハイパーバンド(sub-hyperband)の4種類がある。わかりやすく言うと、狭帯域がハイポバンドに相当し、拡散度の程度により広帯域をメソバンド、サブ・ハイパーバンド、ハイパーバンドの3つに分けて定義している。基準となるのはバンドレシオ(bandratio:br)または帯域幅の割合(pbw: percentage bandwidth)の値で、それぞれ下記のとおり対応している。
表

・バンドレシオ(bandratio:br):エネルギーの90%が存在する高い周波数と低い周波数の比率。 スペクトラムに大きなDCが含有されている場合、下限は通常1 Hzと定義されている。

・percentage bandwidth:pbw:波形の中心周波数のパーセンテージとして表される波形の帯域幅で、最大200%となる。次の数式で求められる。
式