自動車の生産では、産業用ロボットおよび生産ラインにより人々は重労働から大幅に解放されている。だが商業や介護分野など生身の人間が主に責務を担う場合には、あてはまらない。PowerGrasp(パワーグリップ)プロジェクトでは第2の皮膚(second skin)が強度を実現し、3年間の研究で期待できる結果が出た。
道路建設や高齢者の介護、物流では、作業プロセスが個々に異なるので人々の重労働を軽減するための技術の適用は簡単にはできない。しかし商業従事者、介護者、運輸労働者が自分の力を補う支援システムを装具の形で身につけることができれば、作業は簡単になり健康リスクも軽減できる。
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)によって資金提供されたプロジェクトPowerGraspは2015年に開始された(参照番号16SV7313K)。Würth ElektronikグループCircuit Board Technology(CBT)のリーダーシップの下、さまざまな営利企業が大学および大学以外の研究機関と協力した。「このプロジェクトの目的は、肉体労働やストレスの多い作業に従事するあらゆる年齢の労働者を支援するため、手や腕のソフトメカニクスを備えたアクティブな装具を開発することだった」とWürth Elektronik CBTの研究開発部長Jan Kostelnik博士は説明する。
PowerGraspの3年間におよぶ研究プロジェクトは、今や成功裏に完了した。ネットワークコーディネーターは、WürthElektronik CBTとFraunhofer Institute for Production Systems and Construction Technology IPK、パートナーはEvangelische Hochschule Nürnberg、Schunk GmbH & Co. KG、Textile Research Institute Thuringia-Vogtland e.V.(TITV)、Berlin University of the Arts(UdK)、warmX GmbH、Rehabilitation Center Lübben、Volkswagen AG(関連パートナー)で、他に産業・経済界からも協力があった。
「技術パートナーとしてWürthElektronik CBTは、センサの技術的実装と電子機器の開発、製造を担当した」とJan Kostelnik博士は語る。プロジェクトの過程で、研究者チームは、電子部品と筋力増強空気圧駆動エレメント、つまり空気圧を実装できる最新のテキスタイルを詳しく調査した結果、着用可能で柔軟性のあるロボット装具が開発された。スマート材料に関する追加研究は、例えば筋肉活動を記録することである。アルゴリズムの助けを借りることで筋肉疲労を特定し、必要に応じてサポートを調整できる。(後編へ続く)