September, 12, 2019, 京都--島津製作所は、9月2日にAI(人工知能:Artificial Intelligence)を用いて開発したアルゴリズムを搭載する、トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)向けオプションソフトウェア「Peakintelligence」を国内外で発売した。
新製品は、LC-MS/MSと「一次代謝物メソッドパッケージ」もしくは「細胞培養プロファイリングメソッドパッケージ」を利用する際に、画面上に頻出するピークを自動的に検出する。従来は作業者が目視で確認していた工程をソフトウェアに任せることで、研究現場の働き方改革を実現。この製品は富士通、富士通研究所との共同研究により開発した。
疾患の早期発見や食品の残留農薬の測定など様々な用途で使われる質量分析計は、装置の進化によって得られるデータ量が膨大になっている。そのため装置から取得したデータの解析において「ピークピッキング」と呼ばれる作業が、工程のボトルネックになっていた。多数のピークを目視で確認する必要があるため完全な自動化が難しく、長時間になりがちなピークピッキングは大きな業務負担を生んでいる。さらに、人為的なミスや癖により作業者ごとで解析の精度にばらつきが発生するうえに、改ざんが入り込む可能性もあった。医療や創薬などライフサイエンス系の研究現場では「属人性を排除した高精度なピークピッキングの自動化」が喫緊の課題だった。
島津製作所と富士通、富士通研究所は、2016年から共同でAI活用によるピークの自動検出技術を研究してきた。島津製作所が「教師データ※5の不足分を補うデータを生成する技術」を、富士通・富士通研究所が「熟練作業者の解析ノウハウを学習する特徴抽出技術」をそれぞれ担当し、生成した7万件の教師データをディープラーニング(深層学習)機能で学習させた。共同研究を通じて、熟練者の目視・手動での処理に対して、AIは誤検知率7%、未検知率9%という高い精度を実現できたため、「Peakintelligence」発売に至った。
オプションソフトウェア「Peakintelligence」は、LC-MS/MSにおけるライフサイエンス分野(一次代謝物、細胞培養)向けだが、対応機種や応用分野を順次拡大していく。
(詳細は、https://www.shimadzu.co.jp)