Peter:
2. 水処理のエリア
これはPROFIBUS DPネットワーク経由で互いに接続されるいくつかの機器で構成されています。
2.1: ドライブとモータの間にあるモータ・ケーブルのいくつかはシールド両端を終端せず、シールドケーブルのシールド部分を少なくとも一端で終端させているように見えます。これによって他のシステムに影響する恐れのあるモータ・ケーブルからの高周波EMIが漏れ出ることになります。
Keith: ケーブルのシールド両端で終端していないことに関する1.2のコメントと同じですね。
Peter 2.2:PROFIBUSケーブルのシールドは両端で正しく終端されていないように見え、80mA( 40mA が通常最大)以上の電流が流れているものがいくつかあります。パネルの入口/出口に対するシールドのグランディングは十分に実用的なレベルで実施されていませんでした。
Keith:ケーブルのシールド両端で終端していないことに関する1.2のコメントと同じですね。
Peter 2.3:ケーブルのシールドを両端で終端する際、シールドが意図せず既存の等電位ボンディングの一部になる可能性があり、そうなると設計されたレベル以上の高い電流が流れることになります。これは、ワイヤとは対照的に金属プレートや編組線を使ってシールド接続部分で無線周波数(RF)接続する電線銅板の近くにシールドケーブルを配線すればオフセットできます。シールドワイヤの全長に沿って実施し、終端をパネルに接続しなければなりません。このアプローチによって電線銅板は並列のアース線(PEC:parallel earth conductor)として動作します。
Keith:全くそのとおりです!IEC 61000-5-2:1997や、私が考えた「関連する高周波でのlambda/10」ルールの両方に従って最小限可能なメッシュ結合システム/設置を行った場合、クロス結合が多くなるほど全てが良くなることも付け加えておきましょう。本当に例外なく良くなります!
1つの極端な例として(いわゆる)「グランド・ループ」が全くない「1点接地」システムと呼ばれるものがあります。実際にはこのようなシステムは、通常、極めて簡易な設置以外では存在しません。現実には、ふつう1つの、たいていはもっと多くの(いわゆる)「グランド・ループ」が偶然に生じ、追跡することはほぼ不可能です。
このような偶然の(発見できない)「グランド・ループ」は容易に過剰なシールドケーブル電流を生じ、「グランド・ループ」の共振が制御できないため過度なRF電流が全く想像もしない場所に所かまわず現れます。
システムへの小さな変化によってこのような共振が消え去ったとしても、全く違う予想もつかない場所に不意に出現するだけなのです。他の極端な例としては(特に私の考えた「関連する高周波でのlambda/10」ルールを使って構築する場合)IEC 61000-5-2:1997 が推奨するMESH-CBN※ 構造があります。これは、設計によって生じるほぼ全ての共振を抑制し、シールドケーブルに数mA以上の電流が流れないような50/60 Hzの経路がある可能性が非常に高くなります。既存の(おそらく)「1点接地」システムを採用し、「適切な」MESH-CBNを最終的に作り出すことを目的として、一定期間そのシステムを修正する場合、共振をある程度制御できるまでの修正期間中に、ありとあらゆる奇妙で面白いEMI問題があちこちに発生することでしょう。
それ以降はMES H構造を改善するにつれて(いわゆる)「グランド・ループ」による残ったEMI 問題はどんどん減っていき、ついには無視できるレベルになります。これは私が実際に何度も経験してきたことです!
Peter:
3: サーバ・ルーム
ここには、床置きのサーバキャビネット数台があり、うち2台は処理に関わるデータを保管しています。ITサーバ・ルームの低インピーダンス基準(グランド)に関しては特別な規格があります。これは通常、床下のメッシュ結合ネットワークや、サーバ・ルーム周辺にある環状接続導体(BRC:Bonding Ring Conductor)に関わっていますが、どちらも見当たりませんでした。そのうえパネル間のRF(無線周波数)結合はなく、編組線があるところでは接続が切断されたままになっていることがわかりました。データ処理に関連する2枚のパネルは、IEC 61000-5-2:1997適合の文書を発行しているSchneider社が製造したものでした。
Keith:前出の関連規格に従わない、および/または供給業者のEMC設置ガイドに従わないことに関するコメントと同じですね。61000-5-2が1997年に初めて発行される以前、Schneider社は1995年のドラフト版に基いて多くの有益なガイドを出していました。その後、私は幸運にもSchneider社推薦の著者Jacques Delaballe氏と顔を合わせて仕事をする機会が多くありました。Delaballe氏は数年前に引退しましたが、いまだEMC関連規格委員会のいくつかでSchneider社の代表を務めています。
[※訳者注]
CBNは、接地構造体と呼ばれる共通接続ネットワーク (Common Bonding Network)の略で、3次元メッシュCBN をMESH-CBNと呼ぶ。