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EMIノイズを削減するスペクトラム拡散クロック使用のDC-DCコンバータ

 Ricoh Europe社は、高効率、2AシンクロのステップダウンDC/DCコンバータを発売した。30Vまでの幅広い入力電圧範囲で電磁妨害(EMI)を最小にするオプションが2つある。R1275は電池式携帯機器、産業電源、自動車バッテリなどさまざまな入力電源への接続が可能である。スペクトラム拡散クロック発生器(SSCG)を用いてクロック周波数に変調をかけ、周波数を1ポイントに集中させるのではなく、多くの周波数の間にEMI エネルギーを拡散させる。これにより基本周波数が減り、その高調波の妨害潜在能力が低くなる。内部スイッチング周波数は2 MHzにセットされているが、1.8 MHzから2.2 MHzまでの外部クロック信号を適用することによって、また別のDC/DCコンバータと同期させることも可能である。特に電源供給が複数のDC/DC コンバータで構成されている場合に備えて、個別のスイッチング周波数は、共通グランド配線で重大なノイズ発生源になる可能性もある。1つの周波数にすべてのDC/DCコンバータを同期させるので、結果として生じるノイズは簡単にフィルタでき、コンバータの制御に干渉しない。R1275は、コールドクランク状態※1 に対する特別な保護を備えている。自動車電子システムの電源供給は、大幅な入力電圧低下の影響を受ける場合があるので、そのような場合にR1275が出力電圧を保持できるよう、クロック信号は標準的な周波数の4分の1まで直線的に低くなる。これによりオン・デューティは通常の最大デューティより大きくなって、入出力電圧差が小さくなり、コールドクランク状態での連続動作が可能になる。付加的な安全機能には、入力低電圧・過電圧ロックアウト、リセット型過電流保護、内部のソフトスタート電気回路、ピーク電流制限、サーマルシャットダウン、出力過電圧・低電圧保護などがある。パワー・グッドピンは、チップが標準的な動作の準備ができていないか、何らかの保護回路がアクティブ状態のとき、故障信号を出す。R1275は、熱的に強化された5.2 x 6.2 x 1.5 mmの民生用、産業用、車載用のHSOP-18パッケージで販売している。
 詳細はリコー電子デバイス株式会社のウェブへ。(2017/04/10)

[※訳者注]
1.自動車エンジン始動時の大電流によってバッテリ電圧が2.5 V程度まで下がる現象。