周波数範囲1 GHz ~ 40 GHzのエミッション電界強度測定は、電波無響室またはオープンサイトで実施される。通常、供試デバイス(DUT) のすべての角度ポジションだけでなく、全てのアンテナ高さからも放射が最大となるポイントを見つけなければならないので、こういった測定は非常に時間がかかる。1 GHz超で強い放射指向性パターンを持つDUTは、高い角度分解能が必要となるため、最大放射の正確な位置を得るのにターンテーブルの細かい角度調整が必要となり、試験手順にはさらに時間がかかる。そのため、過去には全試験時間を減らそうと予備スキャンおよび最終スキャンの試験手順が一般的に実施されていた。予備スキャン中は概要測定だけなので、最大エミッションの重要な周波数を特定できる。その後、こういった重要な周波数を見つけて次は単一周波数モードで、より正確な測定結果を得るため、最終的に非常に長い時間をかけて測定を今一度実施する。
今回GAUSS INSTRUMENTS社は、数ギガヘルツのリアルタイム帯域幅(オプションQCDSP-UG、UFSPA-UG)を提供する同社のTDEMI X試験レシーバ・シリーズ用に、新しいリアルタイム・スキャン機能を導入する。従って最終的な最大化は、全周波数帯で同時に1ステップだけで実行可能である。このような測定は、新設計の非常に強力なハードウェア・モジュールにより、数ギガヘルツにわたってリアルタイム・スペクトル・アナライザ・モードで実行できる。例えば周波数範囲1 GHz ~18 GHzでは、すべての周波数ポイントで時間内に非常に高い分解能で直接測定でき、その結果から直ちに最大値が求められる。全ての周波数範囲において、測定結果はリアルタイムに表示される。このモードでは尖頭値、平均値、RMSの検波モードが使用できる。さらに、規格に基づいて要求されるビデオ帯域幅を適用できる。もちろんCISPR 16-1-1、MIL-STD-461、RTCA DO-160だけでなく、他の多くの国家規格や国際規格に基づく測定も完全にカバーしている。
周波数範囲1 GHz ~ 18 GHzの範囲での一般的なエミッション測定は、同社のTDEMI X 試験レシーバを使うことにより、今回初めてリアルタイムでスキャンできるようになった。DUTは1回の連続動作だけで回転し、角度ポジションと同様にエミッションの最大レベルも記録できる。CISPR 16-2-3だけでなく、ANSIやFCC規格のすべての要求事項は、TDEMI Xレシーバによって実現できる。
従って、例えば電子レンジの測定のような難しい測定タスクであっても、スピーディかつ高効率な方法で実施できる。プリセレクションは全ての動作モードでDC ~ 40 GHzの全ての周波数範囲で使用でき、特にリアルタイム測定モードであっても、例えばISMバンドの信号高調波測定を高精度かつ高いダイナミックレンジで実施可能である。周波数範囲1 GHz ~ 18 GHzで標準偏差が標準値で0.27 dBを達成し、TDEMI Xは、EMI試験レシーバの測定精度に関して、ベンチマークをセットしてある。
このように、DUTの全操作モードは、非常にシンプルで効率的な方法で測定できる。時間がかかる以前の予備・最終試験方法は過去のものとなり、もう不要となった。また、リミット線に対する評価ならびに測定結果の文書化とレポーティングは、統合レポートジェネレータ・モジュールによる完全自動化でMS Word文書として保存され、オプションの遠隔制御ソフトウェアを使えばターンテーブルやアンテナマストの制御など測定完全自動化や、DUTの放射パターンなどの試験レポート作成も可能である。
詳細はGAUSS INSTRUMENTS社のWebへ(2017/03/17)