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強磁性層からスピン分解された電子状態の解明

 東北大学とSynchrotron X-ray Station の研究者チームは、従来のスピン分解光子放出分光法では検出が難しいとされていた、埋没した強磁性層からスピン分解された電子状態の検出に成功したと発表した。これは電子機器開発において重要な発見である。
 チームは第3世代シンクロトロン放射光装置SPring-8*(Super Photon-ring-8GeV :スーパー・フォトン・リング・8 ジェブ) を用いて生成した高輝度硬X 線を使って、埋没した強磁性層からスピン分解された電子状態を測定した。SPring-8 を使用したのは、硬X 線光子放出分光法により埋没した層から電子状態を測定できることが知られていたためである。同チームは、電子スピン検出法についても、硬X 線光子放出分光法を組み合わせて検出効率を大幅にアップした新しいやり方を発明した。
 この新技術により、強磁性層と非強磁性層の間のインターフェース近くにある強磁性物質のスピン分解電子状態の直接観察が可能となり、強磁性物質を含む機器の性能向上に寄与すると思われる。また、強磁性層と非強磁性層の間のインターフェース近くにある強磁性物質中のスピントロニクス機器とスピン分解電子状態を比較することによって、新しいスピントロニクス材料の開発も可能となるだろう。
 詳細はScience Dailyのウェブへ。(2014/11/27)

*訳者注: SPring-8(Super Photon-ring-8GeV、スーパー・フォトン・リング・8ジェブ):科学技術庁が企画し、日本原子力研究所と理化学研究所が共同で建設した大型放射光施設の愛称。運営は、財団法人高輝度光科学研究センターが行っている。http://www.spring8.or.jp/