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ウエストバージニア州の電波 規制地域に“電磁波過敏症”の人が増加

米国ウエストバージニア州グリーンバンクの電波がほとんどない地域では、政府管轄の電波望遠鏡を保護するため送信が制限されている。この望遠鏡はアメリカ国立電波天文台のロバート・バード・グリーンバンク望遠鏡で、世界最大の完全可動式電波望遠鏡で、検知がむずかしい宇宙からの微弱電波を捉えることができる。
 「FCC は1958年に、天文台の電波望遠鏡を干渉から保護するため米国指定電波規制地域(National Radio Quiet Zone)を制定した。また州法により、すべての電波天文学施設から半径10マイル(約16キロ) の範囲では送信が制限されている」という。こういった制限はウエストバージニア週の住民のイライラの種だと報道されているが、指定地域の10代の若者や子供たちは代替方法を見つけているようだ。天文台のすぐ隣に住むグリーンバンク学校(訳者注: 日本の小学校と中学校を合わせたもの) 7年生のある生徒は、多くの生徒がWi-Fi に接続する方法を見つけていると話す。「子供たちが友人に携帯電話で話す際、家のWi-Fi 回線(明らかに望遠鏡の干渉防止装置が見逃しているらしい) につなげば携帯ネットワークは必要なくFacebook やSnapchat などのアプリでテキスト機能を使えるから」ということらしい。
 また、電波規制地域に指定された結果「電波過敏症」の人が集まってきているという別の側面もある。。電磁界が病気を起こすと思っている電波過敏症の住人が10年以上もの間、この地域に魅了されている。「過去数年間、電波過敏症の人は農場や同じ症状の人の近くなどに避難していた。体の不調はワイヤレス信号が原因ではないとする調査にもかかわらず、だ」とワシントンの住人は言う。電波過敏症については数多くの調査が実施され、その結果によれば不調を訴える人は電磁界を認識できなかったという。健康に影響があるとした研究には不備があると証明されている。WHO によれば「十分なコントロールのもとで実施された二重盲検比較試験では、電磁界(EMF)への暴露が各症状の原因ではないと証明している」という。
 電波過敏症の人の多くはWi-Fi を避けるためなら何でもすると言われている。2007年にグリーンバンクに引っ越してきたDiane Schou さんは、以前は外出時に宇宙服を買うことさえ考えたというが、2万4000ドルもかかるとわかり、購入を諦めた。Schou さんは電波過敏のせいで、頭痛、吐き気、不眠症、胸の痛み、見当識障害、消化不良などを患っていたという。しかし、こういった訴えは医学の主流では認められていない。
 「健康上の問題があるというこういう方々には同情する。原因についてはわからないが、Wi-Fi が原因ではない」とジョージタウンのTimothy Jorgensen 教授は話す。住人の多くは望遠鏡とワイヤレス送信の制限がなくなったとしても気にしないだろうが、今のところ天文台と電波望遠鏡の資金や操業が中止になる計画はない。「そのうちついていけなくなって蚊帳の外ということになるかもしれない、恐竜みたいにね。帰宅して、ああ闇の時代を生きていると思うのかも」とグリーンバンクの住人HaroldCrist 氏は語った。
 詳細はArs Technicaのウェブへ。(2015/01/07)