英国ケンブリッジ大学の科学者グループが、電子チップに組み込み可能な非常に小さなアンテナの製造という電磁的ブレークスルーを発表した。同グループは、電磁波が電子の加速だけでなく対称性の崩れからも発生すると認識している。「物理でいう対称性の崩れとは、臨界点を交差しているシステム上で作用する(微分的な) 小さな変動が、分岐のどちらかを選択することでシステムの最終結果が決まる現象である。最終的に(電磁の) 結果を決定する限りなく小さくてランダムな50-50の決定を長いラインで取ると想像していただきたい。言うまでもなく無線通信に対する関わりは大きい」と同グループは言う。また、アンテナが広く使われているが、十分には理解されていない可能性についても指摘した。
「極小システムを作る場合、あるサイズ以下では損失が非常に大きくなるアンテナは制限条件の1つである。アンテナのサイズは用途別の送信周波数に関連する波長によって決定され、殆どの場合はアンテナサイズと用途に必要な特性との妥協点を探ることになる」とケンブリッジ大学工学部のAmaratunga 教授は話す。アンテナおよび部品が小さくなるにつれ電子の加速により放射が起こる。この新しい研究は対称性の崩れがいくつかの放射に影響がある可能性について述べている。論文によれば「電子の電荷が停止しているとき電界には対称性があり、対称性が崩れると極小さなステップで放射が起こる」という。
「このような材料をエネルギー伝送に使いたいならば、電子を加速するだけでなく対称性を崩す必要がある。電磁気学理論のパズルに例えると、これこそ欠けていた最後の部分だ。私たちが完全無欠の理論に辿りついたと言う気はないが、今回の結果はどのように電磁気学と量子力学がクロスオーバーし統合されるかを理解する一助となるだろう」とAmaratunga 教授は述べている。
詳細はZME Scienceのウェブへ。(2015/04/16)